「肉そば」で一斉を風靡した『丸源ラーメン』。実は「熟成醤油ラーメン」も旨いのをご存知か? チャーラーも実践
デフォルトとは思えないクオリティの高さ
まず、目の前に運ばれたのは「餃子」。サイドメニューだと思って侮ってはならない。薄皮ならではのクリスピーな食感といい、餡の肉とキャベツのバランスといい、専門店にも劣らぬ旨さなのだ。卓上の「どろだれラー油」を加えるとさらに旨くなる。 以前は卓上にピリ辛の野沢菜漬け「野沢菜醤」があり、無料で食べ放題だった。餃子にタレやラー油を付けず、野沢菜醤と食べていた。これが本当に旨かった!そういえばラーメンにも入れて味変を楽しんだこともあったな。いつの間にか野沢菜醤は有料(55円)になっていたのが残念でたまらない。 続いて運ばれたのは、「熟成醤油ラーメン」。価格は「肉そば」と同じ759円なのでデフォルトと位置づけても問題ないだろう。にもかかわらず、大きくて分厚いチャーシューと煮玉子、極太のメンマ、海苔、ネギが丼を彩る。この具材の豪華さはいったい何なんだ。 まずはスープをひと口。鶏ガラのダシ感をカドのとれた醤油のまろやかな味わいが包み込むような、奥行きのある味わい。これっ、これなんだよなぁ。そして、中細のストレート麺も適度なコシがあって旨い。麺を茹でたり、湯切りしたりするのは機械で行っているようだが、いつ、どこで食べてもブレない、チェーン店に求められる味の均一性を実現しているのだ。 巷には醤油ラーメン、というか昔ながらの中華そばをブラッシュアップしたラーメンをウリにしている店は多々ある。しかし、この「熟成醤油ラーメン」の足元にも及ばない店も多い。チェーン店にここまで完成度の高いラーメンを出されてはたまらないだろう。
セルフスタイルのチャーハンに苦言を述べたい
「鉄板玉子チャーハン」は、麺を半分以上食べた頃に運ばれた。客が溶き卵とご飯を混ぜるセルフスタイルなのに、ここまで時間がかかるのはいかがなものか。おそらく、鉄板を熱するのにある程度の時間かかるため、混雑のピーク時に注文が集中するとオペレーションが狂ってくるのだろう。 ならば、セルフスタイルではなく、プロが中華鍋を振って作ったチャーハンが食べたいと思うのはワガママだろうか。 物語コーポレーションが運営する別業態のラーメン店で、現在愛知県豊橋市と岡崎市に展開する『濃厚中華そば 餃子 丸福』はサイドメニューに「ヤキメシ」を用意している。ただし、ラーメンとのセット価格は363円と『丸源ラーメン』よりも高い。セルフスタイルにしているのは価格を抑える意味もあるのだろうが、チャーラー好きの筆者としてはやはり物足りない。 これが溶き卵とご飯を混ぜた状態。筆者は味にパンチを出そうと思い、卓上の揚げにんにくをスプーンに軽く一杯加えて、ガーリックチャーハンにした。きっと、「どろだれラー油」を少量加えてもおいしいだろう。 また、「熟成醤油ラーメン」のチャーシューやネギを熱々の鉄板へ入れて混ぜ合わせたら、より豪華に、よりおいしくなると思った。だからこそ、「鉄板玉子チャーハン」は麺と同時に提供してほしかった。 チャーハン以外の部分では概ね、いや、かなり満足度が高かった。何よりもチェーン店ゆえに食べたいと思ったら気軽に行くことができるし、席数も多いので待たされることも少ないのが魅力だ。「熟成醤油ラーメン」が恋しくなった頃にまた行こうと思う。 取材・撮影/永谷正樹 1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。