【漫画】“怪獣”と呼ばれ避けられている少年と、「みんな仲良し」になりたい怪獣の血が流れる少女の漫画に「めっちゃ引き込まれた」「涙出た」など感動の声
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、るぅ1mmさんが描く『中学校に怪獣がやってくる話』(『怪獣くん』より)をピックアップ。 【漫画】“学校”という空間で人間関係と向き合う少年と、怪獣とのハーフの転校生の話に「感動した」「すごく響く物語」などの声 るぅ1mmさんが2024年7月10日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2.7万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、るぅ1mmさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。 ■編入生は怪獣と人間のハーフ 中学2年生の主人公・鳶本(とびもと)のクラスに、ある日怪獣と人間のハーフである少女・日鷹(ひだか)このみが編入生としてやってくる。クラスメイトからなぜこの学校に入ってきたのかと問われると、学校のホームページに「みんな仲良し」と書いてあったからと笑顔で答えるこのみ。クラスメイトたちからは鳶本について、「怪獣」であるから近づかない方が良いと言われる。 しかし、このみはそんな鳶本のことが気にかかり、体育の授業で声をかけたり、お弁当を一人で食べている鳶本に近づくのだった。そして、なぜ「怪獣」と呼ばれているのかについて本人から聞く。小学生の頃にいじめを受けていた幼なじみのために暴力をふるってしまい、全部自分のせいでこうなっている、という鳶本。その話を聞いたこのみは、涙を流しながら怪獣である自分の父親の話をする。父親からは「ひとりだけでいい」「自分をわかってくれる人を大事にしなさい」と言われたが、沢山の人と仲良くなりたい、怪獣が怖くないとわかればみんなと仲良くなれる、ということを証明するために学校にきたのだ、と鳶本に告白するのだった。 日がたつにつれ、クラスメイトたちの複雑な人間関係を目の当たりにするこのみ。みんなあまり仲良くないことを知り、そのことを鳶本に相談すると、もうすぐ体育祭があるから団結しやすのではないか、と提案してもらう。「みんな仲良し」は幻想であるとわかりつつも、このみを応援してしまう鳶本なのだった。 作品を読んだ読者からは、「人の心情描写がリアル」「主人公の気持ちめっちゃわかる」など、反響の声が多く寄せられている。 ■作者・るぅ1mmさん「『学校』という場所の難しさを通して一つ回答を出した」 ――『怪獣くん』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。 『怪獣くん』はもともと武蔵野美術大学の卒業制作のために作った作品です。 当時興味があった「学校」と「子ども」の関係性をテーマに描くことで、私自身が「学校」という場所を卒業したい!という思いがありました。 「怪獣」というテーマは、ぼんやりしてるときにふと「大きな怪獣を抱きしめている少女」の図が浮かんだため、こういうお話が描きたいな、と思い題材にしました。 お話を作る最初の段階では、恋愛をしたりエンディングで校舎を壊したり、怪獣がこのみではなく鳶本のほうだったりと少し違う物語だったのですが、「集団から孤立した二人」というテーマとみんなから攻撃の対象になる「怪獣」が嚙み合ったので、今の『怪獣くん』を描くことになりました。 ――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。 今作は、立場がバラバラな子どもたちが狭い空間でコミュニケーションを取らないといけない、ということをお話の根本にしています。 人は、苦しい思いをしたり、誰かを苦しめたりしたくない、人とつながりたい、仲良くなりたいはずなのに、なぜかすれ違って傷つけあってしまうことがあります。 どうしてそうなってしまうのか?という疑問に対して、「学校」という場所の難しさを通して一つ回答を出しました。 そのため、『怪獣くん』で大切にしたことは、「ヒーロー」を作らないようにしたことです。ヒーローがいると、ヒーローが選択したもの以外は「悪」になってしまうからです。 ――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。 好きなところは要所要所にあるのですが、1話でこのみが言った「ひとりだけなんてさみしいもん!たくさんの人と仲良くなりたい!」に対して、最終話の「このクラスの全員と仲良くならなくたっていい。いろんな場所で少しずつ、たくさん友達を増やしていけばいい。」という提案をした鳶本の考え方が好きです。 夢の叶え方って一つじゃないし、なにも否定しなくてもきっと道はあるんじゃないかな、という希望がここにあるかなぁ、と思います。 ――Xの投稿には、多くの読者から「主人公の気持ちめっちゃわかる」「優しくてあったかい話」など反響がありました。このような反響をどう感じておられますか? 「優しくてあったかい話」というコメントには驚きました!このお話自体は主題が人間関係の難しさでもあることから、結構暗くて重い話だと思うからです。 このみの夢は叶わないし、みんなと仲直りはできないし。でも、この物語からあたたかさを感じてもらえるなら、きっとその人自身が希望的な部分をたくさん読んでくれるような人なので、嬉しいなと思います。 どんな感じ方をしていただいても楽しく読んでいただけたならとても嬉しいことなので、有難いですね。 ――るぅ1mmさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。 大好きで宝物になるような作品をたくさん作っていきたいです。 ――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。 いつも作品を読んでいただきありがとうございます!漫画家として漫画に向き合い始めてから数年ですが、読んでいただけることが一番有難いことだと常々感じます。 漫画は読んでくれる人がいないと成り立たないからです。だから、読んだよ!と言ってもらえると本当に嬉しいです。ありがとうございます。 またこの人の作品を読みたいな、と思ってもらえるような漫画を描いていけたらと思います。 どうぞこれからもよろしくお願いいたします。