ケアマネ試験、受験資格要件緩和へ 担い手増加を目指す「厚労省が中間整理を発表」
12月12日、厚生労働省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」が、「中間整理」を発表した。その中では、ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割の重要性が拡大する一方でケアマネの従事者数が減少傾向にあることを指摘。業務を整理し、負担を軽減しつつ「ケアマネ人材の確保」が焦点となることが打ち出された。 【画像】ケアマネジャーの60代以上が増加傾向にある一方で、45歳未満が減少傾向にある厚労省が発表したグラフで見る
その中の一つの大きな要素となっているのが「受験資格緩和」だ。
現在のケアマネ試験受験資格とは?
ケアマネの受験資格は2018年に厳格化され、現制度では「社会福祉士や看護師など、保険・医療・福祉に関する法定資格に基づいた業務、又は一定の相談援助業務に5年以上従事していること」が必要となっている。この要件は、介護現場で求められる専門知識や実務スキルを担保するために設けられているが、結果として従事者数の減少を招いていることが指摘されている。厚労省はこの現状を見直し、ハードルを下げることで人材確保を進めたい考えだ。
要件緩和案のポイントと、今後の課題
今回厚労省が提示している緩和案のポイントは2点ある。 1.受験資格の範囲拡大 現在は対象外となっている福祉・介護分野の一部資格を新たに追加し、より幅広い人材が試験に挑戦できるような制度改正を検討。これにより、異なるキャリアを持つ人々がケアマネジャーとしての道を目指しやすくなる。 2.実務経験年数の短縮 現行では「通算5年以上」とされる実務経験を、「3年以上」に短縮する案を検討。この案が実現すれば、早期に資格取得を目指す人が増え、介護現場に迅速に人材を送り込むことが可能になる。 上記2点の緩和案により、ケアマネ受験者数・合格者数が増えることが期待されている。加えて、学校教育と連動して「学卒者」をどう取り込むかといった策も検討されている。この場合は、ケアマネ業務に求められる専門の習得がカギになりそうだ。 ケアマネジャーの年齢構成を見ると、60代以上が増加傾向にある一方で45歳未満が減少傾向にある。厚労省も「年齢構成等を踏まえると、10年以内には、ケアマネジャーの担い手は急激に減少していく」と見込んでおり、前述の案で若年層やミドル層の担い手を確保するとともに、現在のケアマネとして従事している人に引き続きやりがいを持って従事し続けてもらうことが必要と指摘されている。そのためには、他産業・他職種に見劣りしない処遇をすることが必要だろう。 今回の案はケアマネ不足の解消に向けた第一歩。介護現場を支える新たなケアマネジャー像がどのように形成されていくのか、引き続き注目していきたい。 構成・文/介護ポストセブン編集部