熱中症で救急車を呼んだら、予想よりも高額の料金を請求されました。「選定療養費」とは一体何ですか?
救急車の利用で発生する選定療養費の仕組みや支払う理由について解説します。併せて救急医療の制度や利用時の注意点を詳しく説明し、出費を減らす方法もご紹介します。
救急医療の制度
令和6年7月に全国で熱中症により救急搬送された人数は4万3195人と報告がある通り、多くの患者が救急車で救急病院へ搬送されています。 日本の救急医療体制において救急医療病院は「一次救急医療機関」「二次救急医療機関」「三次救急医療機関」の3つに分類されており、救急隊員の判断で適切な医療機関へと受け入れを要請する仕組みがとられています。 一次救急医療機関とは、初期救急とも呼ばれている夜間や休日など休診時に診療が可能な「休日夜間急患センター」や地域の在宅当番医制に参加する診療所です。主に患者自身が独歩で来院する軽度の救急患者の外来診察を行います。 二次救急医療機関とは、地域で発生する救急患者への初期診療と応急処置を行い、必要に応じて入院治療を行う医療機関です。主に入院治療が必要な重症の救急患者が利用します。 三次救急医療機関とは、緊急性・専門性の高い重症・重篤な救急患者が搬送される救命緊急医療機関です。地域の救急医療機関では対応が難しい重篤患者を最終的に受け入れています。
選定療養費とは
2016年4月の健康保険法改正により徴収が始まった医療保険制度で「選定療養費」という名称がつけられた「特別の料金」です。大病院への患者集中による患者の待ち時間や勤務医の外来負担の課題解決の一案として始まりました。 対象となる病院は「特定機能病院」「一般病床200床以上の地域医療支援病院」「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」です。特定機能病院とは、大学病院などが当てはまります。 対象となるのは他の医療機関から紹介状なしで受診する初診の患者、または病院から他の医療機関への紹介状を交付されたにもかかわらず、再診する患者です。料金は初診の医科の場合、7000円以上と決められており、7700円や1万1000円など病院で異なります。