自殺に追い込まれた大本萌景さん「家に帰りたくない」真意は?
愛媛県を拠点とする農業アイドル「愛の葉Girls(えのはがーるず)」の元メンバー、大本萌景さん(享年16)が3月に自殺した件は、遺族が元所属事務所社長の佐々木貴浩氏らを相手取って今月12日に松山地裁に提訴、法廷で争われることになった。 筆者は萌景さん死去の約1ヵ月前、佐々木氏と共に東京にきた萌景さんを取材した。その際、取材にはしゃぐ萌景さんの傍らで、まるで青年実業家のように愛の葉の活動について熱っぽく語る佐々木氏にも良い印象を抱いていただけに、萌景さんの死去後、遺族と所属事務所が対立関係にあることがわかったときは驚きを禁じ得なかった。また、愛の葉Girlsの新連載「農園だより」を春から始めるべく事務所側と写真や動画の準備を進めていたのだが、その企画も頓挫してしまった。 何があったのか。今月11日に弁護団同席のもと開かれた遺族の会見にも行き質問をぶつけるのと同時に、その前後、佐々木氏にも話を聞く機会があった。真相を推察する前にまずここでは、萌景さんと遺族、萌景さんと佐々木氏の関係がどんなものであったのか整理しておきたい。
LINEのパワハラ発言は「ファミリー的感覚から」
今回の大きな争点に、所属事務所のパワハラがある。LINEをはじめ事務所スタッフらの萌景さんに対する一連の言動について、佐々木氏はテレビなどの取材に部分的には認めて詫びているものの、「家族同然、ファミリー的な感覚からそうなってしまった」とも釈明している。また、萌景さんが亡くなった直後から一部ネット上では、萌景さんが遅い時間までゲームセンターに入り浸り家に帰りたがらないようだった、と家庭の責任を問うような情報も書き込まれた。それらは事実なのか、事実であれば事務所としては萌景さんの素行にどのような見解を持っていたのか。 佐々木氏は語る。 「萌景に関しては家族同様だったんです。私、子どもが2人いるんですが、この3年ぐらいは実の子より萌景といる時間のほうが長かったぐらいです」 と、親密な関係にあったことを強調し、続ける。 「僕自身、萌景に説教されたり、頭叩かれたことだって何回もあります(笑)。たとえばうどん食べるとき、『いただきます』って言わなかったと怒られたりね。ゲームセンターで遊んでいたのは本当。僕もスタッフも迎えに行ったことがあるし、うちにも何回も泊まりにきましたよ」 きつい言葉のやりとりも、なかなか一般には理解されにくいかもしれないが、本質的にはそうした打ち解けた関係性ならではのことだったというわけだ。