スターバックスが「プリペイドカードビジネス」で300億円を荒稼ぎしていた…!利用者の多くがスルーしている「巧妙なカラクリ」
日本のスタバの巧いビジネス
ちなみに、2017年10月期の退蔵益は約1億ドル(150億円)。6年で2倍に増えたことになる。 「これはスターバックスカードなどの販売額が増えているからです。こうしたプリペイドカードの販売額は前受収益として計上されます。2017年10月期は13億円(1950億円)であるのに対して、2023年10月期は17億ドル(2550億円)です。同社の退蔵益は、スターバックスカードの販売額にある程度比例しています」(村上氏) このような同社の退蔵益ビジネスにおいて、スターバックスコーヒージャパンが扱う「Starbucks eGift」は利益をブーストさせる“巧いビジネス”と言える。 これはLINEやメール等を通じて相手にスターバックスのドリンクチケットを贈れるサービスだ。贈り主は500円、700円、1000円のいずれかの額のチケットを購入し、相手にURLを送信。クリックすると決済可能なQRコードが表示される。 まず、退蔵益に貢献するのが「絶妙な価格設定」だ。 「贈り手側の心理として、500円だと安過ぎるし、かといって1000円だと支払うのに若干躊躇する。だからその中間の700円はちょうどいいんです。大半のドリンクメニューとサイズに対応しているため受け取った相手も満足度が高い。 最大のポイントは、多くの人が700円ぴったりで購入しないということでしょう。そもそもスターバックスコーヒーにはその価格のドリンクが少なく、なにより自分のお金ではないので余りが生じてもそれほど気にならない。超過分を支払えば700円を超えたドリンクも注文できますが、割合としては多くないと推測します。つまり、使い切らない可能性がとても高いのです」(村上氏) この残高を確実に退蔵益へとつなげるため欠かせないのが「2つの縛り」だ。
退蔵益を確実に得る仕組み
ひとつは、チケット1枚につき1ドリンクしか購入できないというルール。次回の会計時に残りの額と現金を組み合わせて決済することはできない。 もうひとつは、有効期限の存在だ。無期限で利用可能なスターバックスカードと異なり、eGiftは購入から4カ月後の月末までに使用する必要がある。この期限を超えた分は必ず退蔵益として回収できる(なお、本国アメリカにもeGiftはあるが有効期限は設けられていない)。 「一般的に退蔵益には『今後も使用される可能性が低い』と判断された商品券なども含まれます。あくまで可能性の話なので当然使われることもある。その点、有効期限を設ければ失効分が確実に退蔵益に計上されます。発行元の企業にとっては都合がいいのです」(村上氏) 日々熾烈な争いが繰り広げられるビジネスの世界。そこには生き残りをかけた様々な稼ぎ方が存在する。 ―――― 【さらに詳しく】つづく記事〈「アメリカ」スターバックスの客離れが止まらない…いま絶好調な「日本」でも、起こりうるかもしれない事態〉では、売上の減少が止まらないスターバックスについてさらに分析しています。
マネー現代編集部