「ついにこの日が…」 日本で最も標高が高い、人気撮影スポットの池が消滅 噴火10年、火山灰が変えた1000年前からの光景 復活の可能性は…
2014年の御嶽山噴火で進んだ火山灰堆積
2014年の御嶽山噴火の際に降り注いだ火山灰の堆積が進んでいた山頂直下の天然の池「二ノ池」が干上がり、消滅したことが分かった。雨が降れば一時的にくぼみに水がたまるが、1~2日後には乾いてしまう。噴火災害から10年。撮影スポットとして登山者に知られた一帯の光景は様変わりした。 【写真】エメラルドグリーンに輝く噴火災害前の二ノ池
山小屋の支配人「ついにこの日が来た」
ほとりの山小屋「二ノ池山荘」の小寺祐介支配人(44)によると、池が干上がっているのを最初に確認したのは8月2日。雪解け水の流入が終わったタイミングだった。噴火後、年々面積が減っていたため、「ついにこの日が来たか」と思ったという。
登山者に人気だったコバルトブルーの水面
剣ケ峰(3067メートル)の山頂北側の二ノ池は国内最高所の池とされ、噴火前はコバルトブルーの水面で知られた。古くから御嶽信仰の信者らが聖地と位置付けて訪問。一般登山者にも人気だった。しかし、噴火後は周辺に積もった火山灰が雨水や雪解け水と共に流入し続け、消滅は時間の問題だと考えられていた。
噴火10年で1000年前からの光景様変わり
17年から二ノ池を調査している御嶽山科学研究所(木曽町)の国友孝洋代表(67)=理学博士、岐阜県瑞浪市=によると、二ノ池は少なくとも千年ほど前からあったとみられる。「14年の噴火はそんな二ノ池を10年で埋め立ててしまうほどの出来事だった」と説明する。
専門家「復活の可能性は…」
池周辺は雨によって火山灰が流れ落ち、植生が復活しつつある。池自体が復活する可能性について国友さんは「新たな水蒸気噴火によって水がたまる穴ができるか、池の周囲に土砂が堆積し、また水がたまる環境ができるかしないと難しい」とみている。