【異次元の少子化対策】児童手当が増えても「扶養控除」が減ってしまう!? 扶養控除が廃止された場合、児童手当が増えても「損をする家庭」をシミュレーション
国税庁 No.2260 所得税の税率 総務省 個人住民税より筆者作成
扶養控除の廃止で、児童手当が増えても「損をする」世帯とは?
実際に児童手当が法律案通り増えたとしても、扶養控除が廃止されると差し引きで「損をする」ことになってしまう世帯を考えてみます。 世帯のパターンは子どもの数・年齢により多くの組み合わせが考えられますが、以下のような世帯をモデルケースとしてシミュレーションします。 世帯主(子どもを扶養している人)の課税所得金額…195万円未満~1800万円未満 扶養している高校生世代子どもの数…1人~3人 それぞれのパターンにおいて、増加すると見込まれる児童手当の金額と、所得税・住民税の額を差し引きしたものが図表2です。 図表2
国税庁 No.2260 所得税の税率 総務省 個人住民税より筆者作成 図表2のオレンジ色になっている部分が「差し引きマイナス」になってしまう世帯のパターンです。具体的には「世帯主の課税所得金額が695万円以上で、扶養する高校生世代の子どもが1人の場合」は、増税分を児童手当増額分で相殺しきれず、「損をする」ことになってしまうことになります。 高校生を2名以上扶養している世帯であれば、多くの場合は「損をする」ことはないといえますが、それでも扶養控除の廃止によって所得税・住民税の負担が増えてしまうのは、子育て世代にとっては残念なことです。
まとめ
現在議論が行われている「扶養控除」の廃止が決定すると、「世帯主の課税所得金額が695万円以上で、扶養する高校生世代の子どもが1人」という世帯では、児童手当の増額があったとしても、差し引きで負担増になってしまうことが分かりました。 今後、実際に扶養控除の廃止・縮小が決定するかは不透明ですが、高校生世代を扶養する子育て世代の人は、国会などでの議論の行く先に注目をしていきましょう。 出典 こども家庭庁 児童手当制度のご案内 こども家庭庁 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要 国税庁 No.2260 所得税の税率 国税庁 No.1180 扶養控除 総務省 個人住民税 執筆者:山田圭佑 FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
ファイナンシャルフィールド編集部