「それはおっさんの発想」もダメ! しまむらバースデイ“子ども服が炎上”から見る「男性下げ」が禁句となった背景
大手衣料品チェーン「しまむら」グループの子ども用品店「バースデイ」の新商品(7月29日発売)に関し、批判が噴出した。 【写真】すでに公式Xから削除された「問題の商品」<パパはいつも寝てる> 本商品は、現代美術作家の加賀美健さんとコラボしたTシャツや靴下だが、商品に印字されている「パパは全然面倒みてくれない」「パパはいつも帰り遅い」「パパはいつも寝てる」「ママがいい」といった文言に対し、「男性差別ではないか?」といった批判がなされたのだ。 こうした批判を受け、発売翌日の7月30日には、バースデイは公式X(旧Twitter)アカウントなどで「ご不快な思いをさせてしまう表現がありましたこと、深くお詫び申し上げます」「今後この様なことがないように、お客様視点に立った商品企画を行ってまいります」といった謝罪文を掲載、販売中止を決定した。
批判が起きることは十分想定できるような企画であったし、この商品の表現も「完全にアウト」と言ってよいだろう。SNSやネット記事では、「なぜ担当者が事前に気づかなかったのか?」と疑問視する声も少なくなかった。 筆者は、担当者が事前に批判を予想できなかったのは、今回のような「男性を下げる表現」が過去に炎上し、取り下げになったケースが少ないことによると考えている。 この点について詳しく見ていきたい。 ■過去の“炎上”の大半は女性に関するもの
これまでのジェンダー表現に関する炎上事例を見ていても、大半は女性に関するもので、主に下記のようなものだ。 1.外見・容姿に関するもの(ルッキズムや性的な表現) 2.ジェンダーバイアスに関するもの(男女に関する性役割や固定観念) 今回のケースは2に当たるが、やはり男性を描いて炎上したケースは少ない。 直近では、大正製薬の「リポビタンD」の電車内広告に関して起きた議論も、女性の性役割の固定を想起させるものだった。
男性を描いて炎上したケースとして思い出されるのが、2017年の「牛乳石鹸」のWEB動画「与えるもの」篇だ。 本動画は、「がんばるお父さんたちを応援するムービー」と銘打たれており、父親の視点から描かれている。家庭的な父親になろうと、葛藤しつつも奮闘する男性の姿が描かれるのだが、息子の誕生日に上司に叱られていた後輩をねぎらうために飲みに行ってしまう。このシーンが女性を中心に批判を集めた。 この動画は、男性の“身勝手な”行動を擁護するような内容であったから批判されたのであり、男性を落としていたわけではない。