名城大・多和田尚旗内野手

　愛知大学野球リーグで昨秋以来の優勝を目指す名城大の多和田尚旗内野手（４年・県岐阜商）が、９月２９日の中京大戦（パロマ瑞穂）で節目のリーグ戦通算１００安打を達成した。今春は不振だったが、最後のシーズンとなった今秋は好調を持続。類いまれな打撃でチームをけん引している。 　「ほっとした」。節目の安打に名城大の多和田は息をついた。通算９９安打で迎えた一戦。３打席目まで無安打だったが、８回の第４打席は先頭で追い込まれながらも遊撃への内野安打。「本当は１打席目で決めたかったんですけど、最終打席になってしまった。意識しないようにはしていたんですけど、ちょっと力が入っていたのかな」と笑顔を浮かべた。 　１年時から試合に出場。３年秋まで通算８４安打とリーグ記録の同１２５安打も視界に入るペースで安打を積み重ねたが、今春につまずいた。全１１試合に出場し、打率１割８分４厘。安打はわずか７本だった。「春は安打数を意識して、打とう打とうという意識が出て、体が開いて引っかけた打球が多くなってしまっていた」。打順も指定席だった１番を外れ、下位を打つことが多くなった。 　安打数には強いこだわりを持つ。「四球だったら安打が増えないんで、ちょっと無駄な球にも手を出していたかなっていうところもありますね」と正直に明かす。秋春連覇を目指したチームも、まさかの開幕５連敗。２部との入れ替え戦も視界に入るほど低迷し、６連勝で４位に食い込むのがやっとだった。 　ラストシーズンの今季は意識を一変させて臨んでいる。安打だけではなく、四球でつなげることもいとわない。今春の不振は完全に脱却。チームトップの打率３割５分７厘でチームを引っ張っている。 　「今まで先輩に連れていってもらった分、自分たちで後輩にも経験させてあげたい。自分の結果というよりは、試合に勝てればいいかなという思いでやっています」 　昨秋までに４度の優勝を経験。低迷した春を乗り越え、今季は開幕４連勝とスタートダッシュに成功した。中京大戦は勝ち点を落としたものの、まだまだ優勝の行方は分からない。復活したリードオフマンが王者復権へと導く。 　▼多和田尚旗（たわだ・なおき）　２００２年４月６日生まれ、岐阜県垂井町出身の２２歳。１７８センチ、７５キロ、右投げ左打ち。表佐小少年団で小学１年から野球を始め、不破中では３年時に「１番・捕手」で全国大会出場。県岐阜商では１年秋に二塁手へ転向。２年秋には東海大会で準優勝し、翌春のセンバツ出場を決めたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会は中止となった。名城大では内外野の多くの守備位置をこなし、２年春には三塁手でベストナインを獲得した。