生成AIで日本人の研究者かたり論文捏造か、収入目的の海外サイト「ハゲタカジャーナル」に掲載
藤井氏をかたる論文2本について、読売新聞が国立情報学研究所の越前功教授(情報セキュリティー)に分析を依頼したところ、いずれも「生成AIで作ったとみられる」と判定された。
越前氏の研究グループは、特定の英語論文が生成AIで作られたかどうか判定するシステムを開発した。システムは、人間の研究者が執筆した論文と生成AIで作られた論文をAIに大量に学習させ、人間には気づけない両者の文章の特徴を見抜く仕組みだという。
越前氏は「問題の論文には、引用がないなど、構成には違和感を覚える。ただ、一文一文を見るとそれほど不自然さはない。この分野に詳しくない学生などが、こうした文章を本物の論文と勘違いして受け止めてしまう懸念がある」と話した。
学術の世界「汚染の危機」
研究倫理に詳しい一般社団法人「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事の話「実在の研究者をかたった偽論文の被害は海外で報告されており、日本人研究者が気づいていないだけで、もっと被害が広がっている可能性がある。生成AIの登場で論文の捏造が容易になっており、学術の世界が汚染される危機感が高まっている」