テレビでコメントすることの難しさとは? 春香クリスティーンさんに聞く
THE PAGE
高校2年生のときに来日してから日本政治に関心をもち、メディアで積極的に発言を続ける春香クリスティーンさん。テレビでコメンテーターとして活躍する彼女が、著書『ナショナリズムをとことん考えてみたら』を出版した。内容は、いわゆる「右か左か」という議論の枠組みに窮屈さを感じるようになった春香さんが、自身が出演するテレビ番組への視聴者の反応を交えながら、移民問題やナショナリズムといったテーマについて考察したもの。そもそもなぜ、テレビで「脱原発に賛成」と言えば、「集団的自衛権には反対のはずだ」と一括りにされてしまうのか。テレビ番組でコメントすることの難しさとは何なのか。春香さんに話をきいた。 ※インタビュー動画は本ページ内の動画プレイヤーでご覧頂けます。
── 政治に関心を持ったきっかけは? 春香クリスティーン:私は、日本が大好きだったので、16歳のときに家族を離れ、1人で、日本、東京に住みはじめたんです。家族は今でもスイスなんですけどね。日本にきてから、スイスと日本の違いを強く感じたことがありました。スイスにいたころは、自由な時間に、政治や社会の話題を何気なく話していたのに、日本の高校に入ったら、そんな会話をする人がまったくいなくて。 それこそ、昨日テレビで何見た?とか、このアニメが面白いよねとか、恋の話やファッションの話はあったんですけど、政治や社会の話をする人はいなかったんですね、高校時代は。それで、「なぜだろうな?」と思ったんです。同級生の子に聞いたら、興味を持っても仕方がないとか、何も変わらないとか、政治家はみんな嘘つきだという人もいて……。どうしてだろう、と思って、それで、実態を見てみたい、政治家はどんな人たちなんだろうと思って、国会議事堂に通い始めたんですよね。
── 自身の「アイデンティティー」についてどう思いますか? 春香クリスティーン:アイデンティティーの問題は、すごく難しいなと思います。私の場合は、父が日本人、母がスイス人なので、二つのアイデンティティーを持って生まれて育ったので、どちらかを否定する、どちらかを肯定するということではないんです。でもやはり、日本人として日本にいる以上、日本人としてのアイデンティティーをよく考えるようになりましたし、日本人らしさを失ってはいけないなと強く思うようになりました。日本の文化の良いところは深めていきたい、継承したいと思いますね。 スイスにいたとしても同じだと思いますけど、自分の国民性、自分とは何なんだろうということですよね。この問題を考える機会がある人と無い人がいるとは思いますが、誰でも、どこかのタイミングで考えることはあると思います。私の場合は特に、ハーフなので、スイス人なのか日本人なのか、「私は何ものなんだろう」と考える機会がけっこうありました。何が正しいということではなくて、それぞれの文化を継承、受け継いでいく、ということなんだと思います。