高校2冠の「岡澤セオン二世」秋元啓介、全日本選手権1回戦で辛勝 ダウンを奪われ「本当に情けない試合をしました」
ボクシングの全日本選手権第2日が27日、東京・墨田区のひがしんアリーナで行われた。高校2冠の秋元啓介(18)=東洋大=が、男子ライトウエルター級1回戦で、久保寺啓太(駒大)に3-2の判定勝ち。29日に同会場で行われる松久優作(法大)との準々決勝に進出した。 期待の1年生、秋元はサウスポー対決を制したが、ダウンを奪われるなど冷や汗をかいた。試合後は反省の弁を繰り返した。 「パンチ力が強い相手だと聞いていた。それさえもらわなければ全然大丈夫だろうと。ちょっと対策不足でダウンをもらっちゃった。フットワークで相手の重いパンチをもらわないようにっていうことを考えていたんですけど、自分のパンチで、(久保寺の動きを)止められる場面がちょっと少なかった。本当に情けない試合をしました」 1回に右フックを当てる。2回にはさらにテンポを上げ、得意のアウトボクシングを展開したが、終盤に久保寺のカウンターの左ストレートを被弾して膝をつくダウンを喫した。最終3回も互角で、秋元も「どっちかなって言われたら、ちょっと僕が負けかなっていうくらい、本当に際どい試合でした」と不安だったため、勝者コールを受けると「シャー」と派手に喜んだ。 父が日本人、母がジャマイカ人のハーフ。憧れの選手は同じくハーフでサウスポーの2021年世界選手権ウエルター級金メダリスト、岡澤セオン(28)=INSPA=だ。ボクシングスタイルもよく似ており「岡澤セオン二世」と言える。2021年東京五輪、今夏のパリ五輪代表の岡澤とはたまに一緒に練習するという。岡澤と同じく「一生アマチュアボクシング」を宣言している。目標は2028年ロサンゼルス五輪での金メダル獲得だ。 26日の開会式では出場147選手の中から抽選で選ばれ、選手宣誓の大役を務めた。「試合より緊張しました。変なところで運を使っちゃった」と苦笑いした。 「王者にあまりふさわしくない試合だと思うが、これから数を重ねて、優勝まで登っていければなと思います」。激戦区のライトウエルター級でただ一人の大学1年生は「勝って本物になりたい」と初出場での初優勝を誓った。 敗れた久保寺は秋元にエールを送り、プロ転向を宣言した。(尾﨑陽介)