OPEC事務局長「石油は神の贈り物だ」…COP29で重要性を力説、「脱化石燃料」の動きけん制
【バクー=田中洋一郎】アゼルバイジャンで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で20日、サウジアラビアなどの産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)のハイサム・アルガイス事務局長が、「石油は神の贈り物だ」とその重要性を力説し、欧州各国を中心とした「脱化石燃料」を目指す動きをけん制した。
アルガイス氏はこの日の会合で、「石油は住居の冷暖房、建設や交通の基礎であり、生産者にも消費者にも不可欠だ」と持論を展開した。さらに、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の目標は温室効果ガスの排出削減であり、「特定のエネルギー源だけを削減してはならない」と主張。石油の使用を大幅に減らすことなく、排出削減することは可能との見方を示した。
12日には議長国アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が、産油国は議長国にふさわしくないとの声に反論し、「あらゆる天然資源は『神からの贈り物』だ。保有し、市場に供給していることで非難されるべきではない」と演説したばかり。アルガイス氏はこの発言にも言及し、「本当に贈り物だ」と述べた。
ただ、化石燃料の使用削減は温暖化対策に不可欠とされており、昨年、アラブ首長国連邦(UAE)で開催されたCOP28では、「この10年で化石燃料からの脱却を加速させる」との成果文書を採択した。今回のCOPでは、参加国から石油の輸出を正当化する発言が相次ぎ、化石燃料の取り扱いに関する合意が後退するとの懸念がでている。