「SNSでの誹謗中傷に対して訴訟を起こしても損しかない」という話を聞きました。なぜでしょうか?
「SNSでの誹謗中傷に対して訴訟を起こしても損しかない」という声を、耳にしたことがある人もいるでしょう。実際、SNSやインターネット上での悪質な投稿に悩まされる被害者にとって、法的な対応には多額の費用がかかることが課題です。 本記事では、発信者情報開示請求にかかる費用の目安や、弁護士費用を抑えるためのポイントを紹介します。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
SNSでの誹謗中傷に対する訴訟で行われる発信者情報開示請求とは
SNSやインターネット上での誹謗中傷は匿名性が高いため、被害者が投稿者に対して法的措置を取るためには「発信者情報開示請求」を行う必要があります。プロバイダ責任制限法に基づく手続きで、プロバイダや通信事業者に対して、投稿者の名前や住所などの個人情報を開示するよう求めるものです。 名誉権やプライバシー、著作権などの権利侵害に該当する誹謗中傷を受けた場合には、損害賠償請求を行うことが可能です。しかし、匿名の投稿では発信者の特定ができないため、直接的な法的請求が難しくなります。そこで、SNSや電子掲示板の運営者、または通信事業者に対して情報開示を請求し、発信者の特定を目指すのが一般的な手順です。 発信者情報開示請求手続きには裁判所を通じた申立てが必要であり、弁護士費用や裁判費用などを含めると、数十万円以上の出費が必要となる場合があります。 さらに、開示された情報を基に発信者に損害賠償を請求しても、発信者が支払い能力を持たない場合には実質的な回収が困難なケースも少なくありません。そのため、「訴訟を起こしても損しかない」という意見が生じることがあります。 ■発信者情報開示請求にかかる費用の目安 SNSや掲示板で誹謗中傷を受けた場合、発信者情報の開示請求を行う際には一定の費用が発生します。開示請求にかかる金額は、一般的に10~30万円程度とされています。 開示請求を弁護士に依頼する場合は、その費用はさらに高額になる可能性があります。一般的な相場は、着手金や成功報酬を含めれば数十万円から100万円程度といわれています。ただし、弁護士費用は事案の複雑さや手続きの進行状況によって大きく異なります。 例えば、投稿者が特定されやすい場合や明らかな違法性が認められるケースでは費用が抑えられることもありますが、反対に特定が困難な場合には時間と費用がかさむ傾向があります。