お世話になった大家さんとの「今生の別れ」。社交辞令は言いたくないから「さようなら」とだけ口にした【作者に聞く】
育児や家族との日々を漫画にし、SNSで発信しているもしゃもぅ(@mosyamou)さん。なかでも、以前住んでいたアパートの大家さんとの交流を描いた「大家さんとハムソー」は、心があたたまる内容に読者からの反響が大きく、電子書籍化もされている。 【漫画】本編を読む ウォーカープラスではこの電子書籍から一部抜粋し、もしゃもぅさんのインタビューとともにご紹介。今回は大家さんとのお別れについて。新居からただでさえ遠いうえ、最寄り駅から徒歩30分のこのアパートに、偶然立ち寄ることはまずないという。大家さんに社交辞令を言いたくなかったもしゃもぅさんは、「近くへ来たらまた寄ります」と言いたかったけど言えなかった。 ■創作にすることも考えたが、悩んだ末に本当のお別れをそのまま描いた 大家さんも「近くへ来たらまた寄りな」とは言わず、角を曲がって見えなくなるまで見守ってくれていたそう。少し切ないラストにした理由について、聞いてみた。 「もっと明るく『大家さんとはまたいつでも会える』のような、創作のラストにしてしまうことも考えました。でも悩んだ末に、本当のお別れをそのまま描くことにしたんです」 お別れの際はお互いに「今生の別れ」だと思っていたそうだが、実は電子書籍には大家さんと会ってきたエピソードが描き下ろしで収録されている。この話は読者から反響もあったのだろうか。 「『大家さんに会いに行ってくれて、とてもうれしい』と自分のことのように喜んでくださる読者さんが多く、私も描いてよかったとうれしく思っています!」 この「大家さんとハムソー」は、もしゃもぅさんにとってどんな作品なのだろう。 「大家さんとの思い出がそのまま残せた、アルバムのような作品です。大きくなったらハムソーにも読んでもらいたいなあと思っています」 もしゃもぅさんは現在もさまざまな漫画を発信しているが、「今連載しているものはほっこり成分が少なめなので、いつかまた『大家さんとハムソー』のような温かいお話を描きたいです」とのこと。もしゃもぅさんの今後の作品にも期待したい。 取材・文=石川知京