あれっ F-22弱くない?「世界最強戦闘機」の意外な欠点とは “最強への階段”阻むのは「定番のラスボス」
「エア・ドミナンスファイター」の異名あるけれど…
圧倒的に強い空戦性能から、「史上最強の制空戦闘機」とも称されるのが、ロッキード・マーチン製のF-22「ラプター」です。演習においては、他の戦闘機に対して一方的に勝利を収めており、まさしく「エア・ドミナンスファイター(航空支配戦闘機)」の異名どおり、空の支配者としての絶対的な権威を示している模様です。 【案外フツー!?】これがF-22「ラプター」の操縦席です(写真) しかし、その輝かしい実績の裏には、意外な弱点も隠されているとか。それは、至近距離での戦闘、いわゆる「格闘戦」における能力です。 F-22は、機動性においても比類のない存在です。強力なエンジンと大きな主翼による高い旋回性能は既存の戦闘機をはるかに上回り、また推力偏向ノズルと組み合わせることによって、あらゆる状況においても優勢を確保できます。純粋な旋回戦闘においては、他の追随を許さない圧倒的な強さを誇ると言っていいでしょう。 旋回性能に優れるなら格闘戦においても強いと言えそうですが、なぜこのような高性能機が格闘戦では意外なほどに弱いのでしょうか。その謎を解き明かす鍵は、F-22が装備する短射程空対空ミサイルとヘルメットの運用方法にあります。 F-22が当初装備していた短射程空対空ミサイルは、1980年代に開発されたAIM-9M「サイドワインダー」でした。このミサイルは、当時としては画期的なものでしたが、21世紀の戦闘機が要求する性能かというと、そうではありません。特に最近は、背後の敵さえ攻撃可能な「オフボアサイト攻撃能力」を持ったミサイルが主流であるのに対し、AIM-9Mはそうした能力がないという根本的な問題があります。 一応、F-22もその後のアップデートでオフボアサイト能力を持つ新型のAIM-9Xを運用できるようになっています。これで、F-22は短射程ミサイルの不利はなくなったかのように思えますが、同機が足りないのはそれだけではありませんでした。F-22はパイロットの視線に追随しその方向にミサイル照準・発射することができる「ヘルメットマウンテッドサイト(HMS)」を有しておらず、攻撃できるのは前方に相対する敵機に対してのみです。