EUが中国製EVに追加関税、最大45%-貿易摩擦激化
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)は、中国製電気自動車(EV)に最大45%の関税を課した。世界最大規模の輸出国・地域間の貿易摩擦が激化している。
追加関税を導入する規則は、EUの官報でブリュッセル時間29日夜に発表された。中国政府や自動車メーカーとの数カ月にわたる交渉や、中国からの報復措置の脅威、深刻化の回避を求める自動車業界の懇願を経て、追加関税が発効した。
EUによる追加関税は、すでに米国という巨大な潜在市場から事実上締め出されている中国メーカーにとって、さらなる打撃となる。米国は今年、中国からの輸入車に対して「大規模な」政府補助金と、昨年70%増となった輸出量を理由に、関税をこれまでの4倍にあたる100%に引き上げた。
追加関税の税率はメーカーによって異なり、現行の10%に加えて、約8-35%強の範囲となる。
EUにとって2番目に大きい貿易相手国である中国は、関税発効後も代替案を模索する協議を続ける予定だが、今のところ、進展は見られない。2023年には7390億ユーロ(約122兆円)に上った通商関係において、報復措置の応酬による対立激化の懸念が強まっている。
中国とEUの交渉担当者は、EUが中国の産業補助金対策措置として正当化している、関税回避のための輸出価格と輸出量の複雑な管理メカニズムを巡り、合意点を探っている。
交渉に詳しい関係者によると、EUの厳しい要求を満たす提案を中国は提示できていない。EU側は、世界貿易機関(WTO)の規則との整合性や、メカニズムが関税と同等の効果を確保することを求めている。また、中国が取り決めを順守しているか、EUによる監視体制の確保も望んでいるという。
匿名を条件に取材に応じた関係者によると、中国は主に、最も高い追加関税を課された国有メーカー上海汽車集団(SAICモーター)に、より有利な条件を確保しようと注力しているとみられる。
一方で中国は、追加関税を支持するEU加盟国への投資を凍結し、乳製品や豚肉、ブランデー、大型エンジン搭載車といったEU産品に対し、独自の制裁措置を講じることも示唆している。中国政府は6月、欧州産豚肉に対する反ダンピング調査を開始したが、まだ終了していない。