「超絶サーモンV3」開発…群馬県、過去開発の2種とあわせ「超絶サーモン軍団」に
群馬県は10月31日、低脂質で見た目も白身に近いブランドサーモンを新たに開発し、「超絶サーモンV3」と名付けたと発表した。タイやヒラメなどの白身魚に近い成分で、他のサーモンとの差別化を図ったという。過去に開発したサーモン2種とあわせて、「超絶サーモン軍団」としてPRしていく。
V3は、2種類のニジマスを掛け合わせた県オリジナル。赤い色素「アスタキサンチン」を含むエサを与えないことで、赤身と思われがちなサーモンを白身魚に近い白さに仕上げる。
染色体を操作するため脂質が多くなりやすい通常の養殖サーモンに比べ、V3は脂質が少ない。県が民間業者に調査を委託したところ、通常の養殖サーモンの100グラムあたり13・9グラムに対し、V3は1・8グラムだった。タイ、スズキ、ヒラメの平均値(1・9グラム)とほぼ同じで、淡泊でくせのない味わいが特長だ。また、他のサーモンに比べて水分含有量が多く、加熱によりやわらかくふっくらとした食感になるという。
31日は県庁で、山本知事が名称を発表し、試食も行った。名前をV3とした理由を「名前はインパクトだ。一番発信力のある名前を選んだ」と説明し、「こんなおいしいサーモンを食べたことがない」と胸を張った。
V3は当面、県内の飲食店やホテルを中心に流通する見通しで、渋川市、藤岡市、嬬恋村の宿泊施設と飲食店計4か所で提供を始めるという。同村の旅館「紅葉館」の小林昭貴(てるたか)さん(50)は「臭みがなく扱いやすい。地元食材はお客さんにも喜ばれる」と歓迎した。
生産は渋川市と嬬恋村の4事業者が取り組み、今年度は2トンを見込む。供給体制は強化し、2029年には20トンへの拡大を目指す。県養鱒漁業協同組合の戸部潔組合長(63)は、「運動量が多い魚なので酸欠に注意が必要」としつつ、「種類が増えることで販路も開拓しやすくなる」と期待した。
県が開発したサーモンは、02年に商標登録した「ギンヒカリ」と、16年に登録の「ハコスチ」がある。ギンヒカリは1キロ以上の生食向けで、ハコスチは引きの強さが特長で釣り堀向けだ。知事は「県の発信力を最大限生かし、それぞれの特長を、あらゆる場所で宣伝していく」と意気込んだ。