意外?「ハンター」体験講座が人気 射撃やわな講習、ジビエ料理 猟友会員減少でも… 長野県南部
募集定員大幅に上回る
飯伊連合猟友会(事務局・飯田市)が狩猟免許取得を目指す人の開拓を目的に開いている体験講座が人気を集めている。飯田市大瀬木の飯田国際射撃場で6月上旬に開いた本年度の講座には、募集定員(30人)を大きく上回る約50人が参加。免許取得を考える人に限らず、ジビエ(野生鳥獣肉)や自然体験を求めて参加する人もおり、狩猟に対する「敷居の高い」イメージの払拭に一役買っている。 【写真】体験講座で振る舞われた「シシカツ」
猟友会員は減少傾向
同猟友会には現在、638人が所属。県内に14ある猟友会組織で最多規模だが、会員が高齢化して退会者も多く、2008年度(775人)から140人近く減った。その一方で、地元自治体からの有害鳥獣駆除の依頼は増加。駆除した動物を山から下ろして解体する作業は体力的な負担が大きく、若手の補充がなければ活動継続が困難になりかねないという。
射撃、わな、シカの解体見学・・・幅広な「体験」
体験講座は毎年1回開き、本年度で16回目。45歳以下の若手有志でつくる「南信州ハンターズ」が企画している。本年度の講座では、猟友会員のクレー射撃実演やジビエ料理の試食、わなの仕掛け方講習、シカの解体見学を実施。ジビエ料理は県内で捕獲したシカ肉を揚げた「シカカツ」や、下伊那農業高校(飯田市)アグリサービス科3年生が授業で考案した「シカ肉バーガー」などを提供した。
受講者の動機はさまざまだ。松本市で農業を営む古家節子さんは、後を絶たないシカによる農作物被害を自ら防ごうと「狩猟免許取得への第一歩」として参加。講座での体験を地元で広め、今後の行動を考えるとした。
会社員の園山玄史(ひろふみ)さん=東京都町田市=は「東京にはない自然を体験してほしい」と、子ども2人と参加。過去に飯田下伊那で働いた経験があり、「もし戻ってこられるなら、自分も狩猟をしてみたい」。シカ解体で皮をはぐ作業に取り組んだ高森町高森南小学校6年の平田智規(ともき)さんは「食べる前に『いただきます』と言う意味が分かった」と話した。
裾野広げ「世代交代」
最近5年間の受講者は30人前後で推移。受講をきっかけに狩猟免許を取得し、猟友会員になる人も増えている。南信州ハンターズ代表の会社員の八代寛司(かんじ)さん=松川町=は、ハンターズが講座で前面に出ることで「若い世代が狩猟に携わっているイメージを持ってもらえる」と話す。
八代さんは、猟友会が今後も地域で役割を果たしていくには「世代交代が必要」と強調する。「キャンプやアウトドアブームの影響で狩猟にも注目が集まっている」とし、講座を通じて狩猟に関心がある人の裾野をさらに広げていく考えだ。