稲作の収穫作業を表現 紙面の演者やまわし姿の男衆 瀬戸内町で油井の豊年踊り
〽ハラ ドンドンセー、ホラ イトセンセー―。旧暦8月15日の17日、鹿児島県瀬戸内町油井集落(法島邦夫区長、31世帯49人)の祭場(ミャー)で、県無形民俗文化財「油井の豊年踊り」が披露された。紙面(カミメン)をかぶった演者やまわし姿の男衆らが、稲作の収穫作業を表現した約10演目を奉納。古式ゆかしい伝統芸能を一目見ようと、島内外から多くの見物客が詰め掛けた。 油井の豊年祭は、かつて「十五夜(ジュウゴヤ)」と呼ばれていたが、近年になって現名称が定着したという。他集落では主に相撲と余興で構成されるのに対し、芸能群を軸としているのが特徴。台風13号の影響で同町9集落の豊年祭が中止となる中、この日は晴天に恵まれ、力士が東西に分かれて引き合う約30メートルのわら縄を異形のシシが鎌で切る「綱切り」で幕開けした。 今年はヨイヤ、ヨイヤ、ヨイヤの掛け声に合わせ、力士が西から土俵入り。さまざまな表情の紙面を付けた演者による「土俵祓(はら)い」や「稲刈り」、「ヒギフッシュ(観音翁の土俵見舞い)」のほか、女性の踊り手が脱穀の摺臼(すりうす)に扮(ふん)する「稲摺り」など、多彩な演目がユーモラスに演じられた。 油井豊年踊り保存会の岡野弘明会長(71)は「人口減少が進む中、集落住民だけでなく、出身者など多く方の支えを得ながら続けている。伝統ある行事を絶やすことはできない。私も元気なうちはやらんば!」と話した。
奄美の南海日日新聞