妻との出会いは「管理職セミナー」!という59歳男性の幸運 「シングル志向者」だった2人の出会いと夫婦生活
一方の麻里さんは英輔さんとだったらもっと若いときに出会っていても結婚したかった、とやはり絶賛する。塾の経営者である麻里さんに妻の役割を期待し過ぎることなく、否定や批判もしない英輔さんは「人生で初めて会ったタイプの男性」だという。 結婚後の姓も英輔さんが改めた。自営業の麻里さんの手続き負担を減らすためだ。英輔さんの旧姓は「堅苦しくて嫌だった」とのこと。ギャンブルで家族を苦しめた亡き父と名前の上でも離れたかったのかもしれない。
■会えない日を少しずつ減らしていくような夫婦生活 結婚してから現在に至るまでの3年間でケンカを一度もしたことがないという2人。それぞれ責任のある立場で働いているので、職場までの通勤時間を考えて別居生活が続いている。 「土日は彼女が私の家に来て、水曜日は私が彼女の家に行っています。とても楽しいです。1人暮らしが好きだった私ですが、今では彼女と一緒にいられない4日間は寂寥感が募ります」 この点に関しては麻里さんも同意する。自宅から塾への通勤は車で10分。夜遅くなることも多いので職場までの近さは必須だが、家事が面倒になってしまったと笑う。
「料理を作ることは嫌いではありませんが、自分1人のためだと面倒になってしまいますね。英輔さんと一緒に食べるのでなければつまらない。1人のときはあまりに適当なものを食べているので英輔さんから叱られたりしています」 日本人の夫婦には「愛している」という言葉を交わす習慣がない。しかし、「あなたがいないと寂しい、つまらない」とつぶやくのは愛の告白と同じだ。 英輔さんはそろそろ定年退職を迎える。麻里さんも後継者が育てば塾の運営を任せられるようになるだろう。お互いに歩み寄って、会えない日を少しずつ減らしていくような夫婦生活もいいものだな、と思った。
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大宮 冬洋 :ライター