【体験談】ミスコン出場の医大生タレント 浪人生活では「スマホは遠ざけて」メンタル管理
医師からもらった「手術糸」
――浪人時の受験勉強は順調でしたか。 センター試験の問題集や過去問を片っ端から解き直しました。それもただ解くのではなく、解けなくても焦らずに解き切る感覚をたたき込むために、時間はかかっても各教科の1回分を通しで解くようにしました。 その成果を実感したのは7月頃です。本番でパニックになったセンター試験の数学に再挑戦してみたら、すんなり解けて「あれ、できるじゃん!」と。秋には模試でもA判定を取れるようになりました。 ――浪人中に心掛けていたことや、励みにしていたことはありますか。 勉強中はスマホを目に入らない場所に遠ざけること。それから、しっかり食べて、よく寝て、明るく振る舞うことでした。たとえ「から元気」でも、明るく振る舞っている間は不安や緊張を忘れられます。よく弟も巻き込んで、大きな声で歌ったり、踊ったりもしていました(笑)。 高校1年のときに岡山大学医学部を見学した際、医師からいただいた手術糸を大事にしていました。その糸を見るたびに、「絶対に医学部に行く」という気持ちを思い出させてくれました。 それから大好きな松岡修造さんの日めくりカレンダーの言葉に元気をもらったり、松岡さんが歌う「C.C.Lemon 元気応援 SONG」の前向きな歌詞に背中を押してもらったりもしました。 ――1浪した受験本番はどうでしたか。 いろんな人からもらったお守りをかばんにじゃらじゃらぶら下げて、「絶対に大丈夫!」と自分に言い聞かせながら試験会場に向かいました。数学でまたパニックを起こしかけましたが、「別の問題で自信を取り戻してから再チャレンジする」という対策を浪人中に身につけられたので、何とか踏みとどまることができました。それでもやっぱり不安になり、休み時間に塾の先生に電話をかけて、「まずい、やっちゃったかも」と伝えました。先生は「大丈夫、大丈夫。次は得意の化学だから切り替えて」と励ましてくれました。 ――合格がわかった瞬間は、どのような気持ちでしたか。 「現役のときよりはできたかな」という程度の手ごたえでしたが、センター試験後に自己採点すると、現役のときは出願をあきらめた広島大学医学部に頑張れば手が届くような点数でした。オープンキャンパスに行ったときから、家族も私も明るい雰囲気が気に入っていたので、うれしかったですね。 広島大学の合格がわかったときは、うれしくて思わず跳び上がりました。机の上にあった筆記用具などを「うわぁー」と放り投げて(笑)。家族とも抱き合って喜んで、補習科の先生や塾に報告して、浪人仲間の合格も知って……最高の気分でした。 ――合格できた要因は何だと思いますか。 一番は、メンタル管理ができるようになったことだと思います。浪人生活を通じて、精神的にかなり大人になったと思います。現役のときは家族にあたってしまうこともありましたが、浪人生活では家族のありがたみも実感しました。帰宅時間に合わせて夕飯を用意してくれたり、勉強部屋にリラックスできる香りのアロマストーンを置いてくれたり、受験生ファーストの生活を徹底してくれた親には、本当に感謝しています。 ――浪人したからこそ得たものもある、ということですね。 渦中にいるときは早く終わってほしいと思うこともありましたが、振り返ってみると、目標に向かってあれだけ必死になれたあの1年間は、自分にとってかけがえのない時間だったと思います。