増え続ける都心ビルの“空室”をデータセンターに 大林組が新事業参入
大林組は、都市型データーセンター(DC)事業に参入することを発表した。2024年11月に、DCの開発および運用を目的とした新会社を設立して、2028年度には、第一弾となるDCを東京都港区に開設予定だ。 【もっと写真を見る】
大林組は、2024年11月11日、都市型データーセンター(DC)事業に参入することを発表した。 2024年11月に、DCの開発および運用を目的とした新会社「MiTASUN(ミタサン)」を設立して、2028年度には、第一弾となるDCを東京都港区に開設予定だ。将来的には、約1000億円を投じて、東京都心にハイパースケールDCに匹敵するDC群を構築することを目指す。 同社のDC事業参入の背景として、AIの進歩やクラウドサービスの利用拡大により、DCの需要が急増していることがある。大林組では、「大都市圏の郊外部に集中する大規模なDC(郊外型DC)に加え、エッジコンピューティングのニーズを背景に、データ需要地に近接した都市型DCの需要が高まる」と分析している。 都市部にDCを建設する上で課題となるのが、事業用地の確保だ。大林組では、大規模オフィスビルの大量供給などにより、“慢性的に空室を抱えた中規模ビル”を活用することで解決を図る。新会社では、大林グループが培った建設事業におけるノウハウや技術力、開発事業におけるネットワークなどを活用して、空室を抱える既存ビルを中容量の電力消費に抑えたDCに改修、もしくは建て替えていく。 2028年度には第一弾となる都市型DCを東京都港区に開設予定で、すでに都内で第二弾の用地も確保済みだという。今後、10年以内に総額約1000億円を同事業に投資する計画を立てている。同時に、国内外の企業とも協力して、他社が保有するビルのDC化や、他DC事業者との相互接続により、2031年度までに40MW(メガワット)級のDC群を構築することを目標としている。 大林グループは、中期経営計画2022に掲げる「持続的成長のための事業ポートフォリオの拡充」として、多様な事業領域で培った技術およびネットワークなどの強みを活かして、新たなビジネス機会の創出に取り組んでいる。 文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp