山崎元から息子への最期の手紙 保険とはズバリ「損な賭け」。とにかくお金の問題は感情を排して<理屈>と<計算>で考えるべし
◆保険とは「損な賭け」のことである 働き始めたいわゆる社会人の初期に意思決定を間違いやすいものに生命保険がある。セールスに乗せられて、あるいは保険会社に就職した友人に付き合って不要な保険を契約しがちなので注意しよう。 保険については二つの大原則を押さえておけ。 第一に、保険は「滅多に起こらないが、起こった時の損失が壊滅的な事象」に備えて「仕方がなく加入する」ものだ。 第二に、保険は保険会社が得で加入者が損をするようにできているものだ(そうでなければ保険会社が潰れる!)。 漠然と「安心するために」保険に入るのは愚かな行為だが、セールスする側はその心理につけ込もうとしてくる。感情に流されるな。
◆民間生保のがん保険は不要 若いビジネスパーソンがどうしても必要な保険は、自動車を運転する場合の任意保険、火災保険、それにお金が十分ない状態で子供が生まれた場合に稼ぎ手に掛ける死亡保障の生命保険(子供が成人するまでの期間のシンプルな保険。必ず掛け捨てで、保険料の安い保険を選ぶ)くらいだ。 相続の際に使う保険について考えるのは、将来でもいいだろう。 ちなみに、父は最近癌にかかったが、健康保険に加入していれば、民間生保のがん保険は不要だと改めて確認した。 治療に掛かった費用は健康保険を利用すると普通の貯金で十分に賄える金額だった。つまり、保険を使う必要はなかったということだ。 「事後的には」がん保険に入っていれば入院費や交通費などが保険から出て、その方が得だった可能性はあるが、癌になるかどうかが分からない意思決定段階の「事前の問題としては」、がん保険は加入者側が損で保険会社側が儲かる賭けなのだから(確率は保険会社が考えて計算してくれている)、がん保険には入らないことが正解なのだ。 この「事前」と「事後」の区別が分からない人は、おそらく保険以外にも多くの分野で「カモ」になり続けるにちがいない。 ※本稿は、『経済評論家の父から息子への手紙:お金と人生と幸せについて』(Gakken)の一部を再編集したものです。
山崎元
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