英アンドルー王子と「親密な関係」築いたスパイ疑惑の中国人、英裁判所が名前公表
(CNN) 英チャールズ国王の弟アンドルー王子と親密な関係を築いた中国のスパイとされる人物の身元が英国の裁判所によって特定された。これは、英国機関内での中国政府の影響力を浮き彫りにする事案の新たな展開だ。 写真特集:英王室の子どもたち ヤン・テンボ氏は先週行われた別の法廷審問で、アンドルー王子と「異例なほどの信頼関係」を築いていたと説明された。 テンボ氏は、アンドルー王子が2014年に立ち上げた起業家向けの取り組みを中国に拡大した「Pitch@Palace China」の共同創設者だった。 12日に行われた裁判所の審問はテンボ氏の英国への入国を禁止する以前の決定を支持した。この審問では、テンボ氏が英国で中国人投資家との商談にアンドルー王子の代理として行動する権限を与えられていたことや、20年にアンドルー王子の60歳の誕生日パーティーに招待されていたことが明らかになった。 テンボ氏は、Pitch@Palaceのイベントの写真や動画に王子と一緒にいる姿が映っている。 PA通信は、テンボ氏が声明で「不正や違法行為はしていない」とし、「私が『スパイ』であると広く言われているのは完全に事実無根だ」と述べたと報じている。 アンドルー王子側は先週、王子が政府の助言を受けてテンボ氏との関係を断ったと述べた。王子は公式のチャネルを通じてテンボ氏と会ったが、機密事項について話し合ったことはないとしている。 近年、英国の政治や機関内における中国の影響力を懸念する声は英議会で着実に高まっている。今回の事案は中国政府による潜入疑惑の最新の事例にすぎない。 議会の情報安全保障委員会は23年、中国が英国の政治制度に関わる人々を標的として影響を及ぼそうとしているとの見解をまとめた報告書を発表した。 テンボ氏は中国共産党の中央統一戦線工作部(UFWD)で働いていたとされる。報告書は、UFWDについて「外国の政治家や著名人が中国共産党を支持するか、少なくとも中国を批判したりその主張に反論したりしないようにする」ために活動していると説明している。 在英中国大使館は声明で、この状況は「英国議員数人による反中国の叫び」を浮き彫りにするもので、「中国に対するゆがんだ考え方を完全に露呈したに過ぎない」と批判した。