『せっかくグルメ』『いくらかわかる金?』平野亮一氏が意識する“人”の面白さ 「明石家さんまを笑わせる」中で学んだ原点
「クイズ番組としてはあり得ないルール」の狙い
――4月からは『いくらかわかる金?』がスタートしました。どのような経緯で企画されたのですか? 日曜日に『せっかくグルメ』をやっていて、週末に番組をやるのっていいなと思ったんです。平日はテレビの前から人が減っている一方で、週末はやっぱり家族で見ていたりするので、週末の番組を目指してもう1本企画を立ち上げようと。 そこで、親子で楽しめるというところを大事にしつつ、『せっかくグルメ』の「グルメ」のように、みんなが興味を持ちやすい入口にしたいと思って「お金」をテーマにしました。ただ、財テクとか、節約とかではなくて、「お金」でバラエティをやろうと思ったんです。 ――特番を経て、希望通りの週末でレギュラー化されましたが、あの『世界ふしぎ発見!』の後番組になりました。やはりプレッシャーは大きいですか? ないと言ったらウソになりますが、『ふしぎ発見』という番組は偉大すぎるので、張り合う気は全くないです。やっぱり週末の土曜のレギュラーになれて良かったという気持ちのほうが強かったですね。 ――これまでもいろいろなお金にまつわるクイズ番組はありましたが、この番組独自の部分というのはどのように意識されていますか? やっぱり“人”の面白さが感じられる番組にしたいというのがあります。例えば、「くら寿司で満腹になるまで食べたらいくら?」という企画でノッチさんの家族に出てもらったんですけど、お子さんが初めて大トロを食べてそのおいしさに衝撃を受けて、ノッチさんも「今日は遠慮しないでいいんだぞ」と言ってあげたりして、“お金”というテーマから人間性や欲などが感じられる面白さがあったんです。ただ情報を届けたり、金額を見せていくだけじゃなくて、“人”が感じられる番組にしたいというのは、『からくりTV』で教わったことであり、『せっかくグルメ』でずっとやってきたことでもあるので、こだわって作っています。 ――やはり「お金」というテーマは、いろんな企画が展開しやすいですか? お金ってだいたいのことに関係しているんですよね。なのでやり方一つで企画になるというのはあります。プロ野球が開幕した時に、巨人ファンと阪神ファンでどっちのほうが飲み代が高いかという対決をやりましたが、タレントさんがロケに行くわけでもなく、基本的には街録ショーなんですけど、こんなこともできるんだと思って。今後も幅広くいろんなことができるなと思いました。 ――クイズの出題の仕方として、挑戦もので「どの組が一番金額分を食べたか」を当てるパターンもあれば、「プロの歌手は路上ライブでいくら稼げる?」のように金額を当てるパターンもありますね。 スタジオの盛り上がりというのを大事にしています。VTRの面白さにスタジオがかけ合わさると面白さが増しますし、視聴者もスタジオと一緒に予想しながら見ていると思うので、どう出題したらより盛り上がれて予想を楽しめるのかをその都度考えていますね。 ――その盛り上げのためのルールとして、「解答変更タイム」(※)があるんですね。 クイズ番組としてはあり得ないルールで、演者さんからもよく「何だそのパターン!?」と言われるんですけど(笑)、そこも演者さんと視聴者の方がより盛り上がれたり、楽しめるようにという発想です。dボタンでクイズに参加してる視聴者の方も、解答変更できるんですよ。 (※)…正解が発表されるVTRが進む途中で、一度出した解答を変更することができるシステム ――dボタンによる視聴者参加は、こちらも総合演出を担当された『オールスター感謝祭』の経験が生きているのでしょうか。 やっぱり見るだけじゃなくて自分も参加できるという感覚はクイズ番組において大事だと『感謝祭』のときに思っていました。俳優さんたちと同じクイズに答えられるって楽しいじゃないですか。その経験もあって、『わかる金?』でも絶対にdボタンで答えられるシステムにしようと最初から思っていました。