大阪難読地名・摂津市編「北別府」「安威川」「味舌」読めますか?
大阪の難読地名を訪ねる小さな旅。今回は大阪市内から「大阪モノレール」に乗って摂津市へ向かい、現地を歩いて難読地名を探してみた。 難読地名「喜連瓜破」「放出」「立売堀」全問正解なら大阪人!?
元プロ野球投手を連想させる?「北別府」けど読み方は違う
モノレールを南摂津駅で降りる。「摂津」は古代の令制国の名前のひとつ。現在の大阪府北部と兵庫県南東部に広がる地域を示していた。過去に大阪歴史博物館で開かれていた特集展示の説明によると、摂津国の東側と河内、和泉(泉州)の3地域をひとつにまとめて現在の大阪府が生まれ「摂河泉(せっかせん)」とも呼ばれている。 筆者が夕刊紙の契約記者時代に「ぶらり摂河泉」という街を紹介する連載記事を担当。イラストレーターとふたりで、府内のあちらこちらを歩いてルポして回った。連載は週1ペースで100回以上続け、府内の全市町村を踏破した。しんどかったけれど、毎回が大阪を体で学ぶ漢字ドリルのような取材になった。 そんな夕刊紙時代の記憶を辿りながら南摂津駅から歩きだすと、登場したのが「北別府町」。読み方は「きたべふちょう」だ。 「北別府」という文字からプロ野球・広島カープの元エース、北別府学氏を連想し「きたべっぷ」と読んでしまう人も多いかもしれないが、読み方は違う。 周囲には別府、東別府、南別府町が広がっており、いずれも別府は短く「べふ」と読む。古代からの歴史があり「天皇の別荘があった」「行政から特別に許された土地」などの意味合いから生まれた地名とされている。
古代の専門職集団「鳥飼部」との関わり
同市内南部の淀川右岸に「鳥飼」の町名が広がる。これは「とりかい」と読む。摂津市史編さんだよりによると、鳥飼八防、鳥飼八町、鳥飼銘木町などだ。こちらは古代の専門職集団「鳥飼部(とりかいべ)」との関わりが想定されている。 一方、安威川橋を北へ渡る。「安威川」の読み方は「あいがわ」だ。風は冷たいが川沿いの遊歩道で、家族連れが犬の散歩を楽しむ。川の上流には「安威川南町」の町名がみえる。安威川は北摂山地を水源に、淀川と並行して市内を貫く。 安威川の由来を探ると、流域が古代・安威郷と呼ばれたことや有力者「藍氏」ゆかりの地域であること、藍の栽培が盛んだったことから「藍」との関連を指摘する説がある。