大阪難読地名・摂津市編「北別府」「安威川」「味舌」読めますか?
難解地名方程式で読み解く「味舌」
安威川にほど近い摂津市立図書館へ立ち寄り、郷土史の資料をひもといてみた。忘れかけられたふるさとの記憶を、しっかり記録に留めておきたい。強い思いがこもる労作を目で追ううちに、趣のある地名と出合う。「味舌」と書いて「ました」と読む。難読地名のひとつだろう。 資料を総合すると、味舌は古い村の名前。元々「ました」は「可美田(うました)」だった。古代の「うまし」は「良い」を表現する言葉で「うました」は「良い田んぼ」を意味していた。ウマに「味」、シタに「舌」の字を当てて、「味舌」になったと考えられるという。難読地名の高次元方程式を読み解いた気分だ。 味舌は町名には残っていない。神社や学校、公園などの名前に受け継がれていることが分かり、おおよその方角を見定めて公園へ急いだ。すでに夕暮れを迎え暗くなっていたものの「味舌下公園」へ到着。地図の表記や地元の人によると、公園名は「ましたしも」と読むそうだ。ささやかな公園ながら、地域の物語を宿す。地名を訪ねる小さな旅を続けよう。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)