ECB、制約的政策必要なし ガイダンス充実を=伊中銀総裁
[ミラノ 19日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのパネッタ・イタリア中央銀行総裁は19日、コロナ禍のショックが和らぎ、インフレが正常化しつつある今、ECBは金融政策決定で、よりフォワードルッキング(先を見越した)アプローチに戻り、将来の政策対応に関するガイダンスをもっと示すべきだと述べた。 パネッタ氏は、ミラノの大学での講演で、ユーロ圏経済は「2022年から23年にかけての異例のショック」の後、従来の領域に戻りつつあり、インフレ予測の誤差も正常化していると指摘し、ECBは「実体経済の停滞に焦点を当て」、政策金利を「中立あるいは拡張的な領域」に修正する必要があるとした。 「インフレ率が目標近くになり、内需が停滞している今、制約的金融政策はもはや必要ない」と述べた。持続的回復がなければ、インフレ率が目標を大幅に下回る可能性があるとし、「金融政策がこれに対抗するのは困難であり、避けるべきシナリオだ」とした。 ECBは10月に政策金利を0.25%ポイント引き下げ3.25%とした。パネッタ氏は「おそらく中立金利はまだかなり遠い」との認識を示した。 過去2年、ECBは異例な状況下で、入手できるデータに基づき「会合ごと」に政策を決定する対応を取ってきた。パネッタ氏は、中期的な方向性に沿って、より伝統的な、真に将来を見据えた金融政策のアプローチに戻ることが可能になったとし、「予想される政策の展開について、より多くのガイダンスを提供」すべきと指摘。「そうすることで、企業や家計が政策金利の先行きを予想しやすくなり、需要と実体経済の回復を後押しする」と述べた。