来年65歳以降も70歳まで雇用継続できることになりました。7つ年下の専業主婦の妻は、これからも社会保険料を払わなくてよいのでしょうか?
60歳以降に国民年金に加入する場合とは
もし、妻の年金加入期間が上限の40年に満たず、受給額が満額にならない場合は、60歳から65歳到達直前までの期間、不足する加入月数について国民年金への任意加入が可能です。 例えば、20歳から学生納付特例制度を利用し、保険料納付の猶予を受け22歳で就職したまま保険料の追納をしなかった場合、60歳まで働くと加入期間は40年になりますが、保険料納付期間は38年なので、満額支給まで2年足りません。 この場合、62歳まで2年間任意加入し保険料を納めると、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。 また、加入期間が10年に満たない場合は、さらに70歳まで加入期間を延ばすことができます。この任意加入制度は第1号被保険者に限られており、会社員や公務員は対象外です。 2年間保険料を納付することで増加する年金額は以下のとおりです(令和6年度の金額)。 (1) 納付保険料:月額1万6980円 年20万3760円×2年間=40万7520円 (2) 増加年金額:満額81万6000円×24ヶ月/480ヶ月=4万800円 2年間で約40万円納めると、老齢基礎年金が約4万円増えるということです。保険料1年分が年金約2万円になるということですね。将来の年金水準は分かりませんが、現時点の金額では10年間もらえれば支払った保険料とほぼ同額になるということです。 なお、60歳から最長65歳の間、会社員や公務員あるいはパートで厚生年金保険に加入することでも、1年につき老齢基礎年金1年分と同等の金額が厚生年金に上乗せされる「経過的加算」という制度もあります(※3)。 任意加入と同様の効果があるといえます。
健康保険はどうなるのか
国民年金と健康保険では、被扶養者の条件が異なります。健康保険の場合、配偶者の年間収入が、60歳未満の場合は130万円未満、60歳以上または障害厚生年金を受けられる場合は180万円未満で、被保険者の収入の2分の1未満であることが条件です(※4)。 妻がこれからも専業主婦なら、健康保険では今までどおり被扶養者のままです。 なお、75歳になるとそれぞれが後期高齢者医療制度の対象になり、被扶養者という扱いはなくなります。 このように、Aさんの妻が今後も専業主婦の場合、国民年金は第1号被保険者として妻自身に加入義務が発生しますが、健康保険はこれまでどおりAさんの被扶養者のままです。社会保険によって扱いが異なることに注意が必要です。 出典 (※1)日本年金機構 国民年金・厚生年金保険被保険者のしおり (※2)日本年金機構 国民年金の加入 (※3)厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第3 公的年金制度の体系(年金給付)」/4.各種加算、一時金 (※4)全国健康保険協会 被扶養者とは? 執筆者:伊藤秀雄 FP事務所ライフブリュー代表 CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
ファイナンシャルフィールド編集部