中国で日本映画ヒット連発 興収1位は邦画リメーク
【北京時事】中国で日本映画がヒットを連発している。 輸入映画の本数制限など中国独特の市場環境に直面しながらも、4月に公開された宮崎駿監督のアニメ映画「君たちはどう生きるか」は今年の興行収入第10位にランクイン。邦画のリメーク作が人気を集めたり、過去の傑作が上映されて話題を呼んだりする例も目立つ。 【写真】日本公開から11年後に中国で上映された「そして父になる」のポスター 中国では厳格な新型コロナ対策が解除された2023年以降、日本映画のヒットが続き、同3月公開の新海誠監督作品「すずめの戸締まり」は、中国における日本アニメ映画の興収記録を更新。翌月公開された「ザ・ファースト・スラムダンク」は、各地の映画館で午前0時の封切り回に50万人が殺到した。 今春の連休に合わせて公開された「君たちはどう生きるか」は、興収7億9100万元(約167億円)を記録。映画興行情報アプリ「猫目専業版」によると、興収10位内に入った外国映画は2作品のみだ。 習近平政権は、愛国心養成やソフトパワー強化の観点から国産映画の普及を後押し。外国映画の輸入に際しては、当局の検閲を受け、限られた上映枠を獲得する必要がある。中国国家電影局などによると、コロナ禍前に年間興収の4割程度を占めていた外国映画の比率は、20~23年に1割台に落ち込んだ。 日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所によると、日本映画の公開本数は少ない年では1桁台にとどまる。確実な収益が見込まれるアニメ作品が主流だといい、日中関係筋からは「日本のリアルな姿が伝わる実写ももっと見てほしい」との声も上がる。 外国映画に厳しい市場環境の中、今年の興収トップは日本映画「百円の恋」の中国版リメーク作となりそうだ。女性ボクサーの奮闘を描いた同作は、幅広い年齢層の女性の共感を呼んだ。 今月6日には、日本公開から11年遅れで是枝裕和監督の「そして父になる」が上映を開始。官製メディアは「親子の感情的交流に焦点を当て、倫理的問題を掘り下げた作品」と評価しており、SNSには「感動した」との投稿が多く寄せられている。