名古屋―札幌　サポーターに手を振る名古屋・ＧＫランゲラック（右下）

◇１９日　Ｊ１第３４節　名古屋０―２札幌（豊田スタジアム） 　名古屋グランパスはＧＫランゲラックの豊田スタジアムでのラストマッチを勝利で飾れなかった。序盤から試合を支配しながら、得点することはできなかった。逆に、前半３５分、左サイドを崩されて先制を許すと、後半３８分にはＤＦ三国が２枚目の警告で退場。５分後に速攻から決定的な２失点目を喫した。 　ランゲラックは「前半はポゼッション（ボール保持率）が高かったと思う。よくボールを動かしていたと思うが、シュートまで持ち込むのに苦労していた。われわれはよくやったが、得点を奪うことができなかった。相手がゴールを決めたのは少し不運だった」と振り返った。 　試合前から、グランパスのゴール裏では、ランゲラックの母国・オーストラリア国旗が多数振られた。送別セレモニーが始まると、試合中は小やみだった雨が本降りに。７年間、グランパスを支え続けてきた守護神を手放すサポーターたちの涙雨のようだった。場内を一周し、ゴール裏で自身のチャントを聴くとき、笑みの中に目を潤ませながら、周囲を見渡した。 　「全てを記憶しようとしていたんだ。脳裏に焼き付けるように。１０年、２０年後もこの光景を見られるように」。ランゲラックは感無量の表情で思いを明かしたが、まだ終わりではない。リーグ戦は4試合、１１月２日にはルヴァン杯決勝がある。「この試合は本当に悔しいが、決勝に向けて前進するための糧になると思う」。２週間後の歓喜の笑顔、あるいは感涙につなげたい。