“トー横”に広がる「青い舌」 薬のオーバードーズ…命の危険も
■「死にたい気持ちを紛らわすツール」 専門家の危機感
夜が深まると、”トー横”には口元が青い若者の姿が増え、飲み物に睡眠薬を混ぜて飲む人も。薬の色か、少し青みがかっているように見えました。”トー横”で流行しているオーバードーズを、専門家はどう見ているのか。 オーバードーズを調査する国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦氏 「非常に危惧するというか、危機感を感じていますね」 「生きづらさを抱える子たちが死にたい気持ちを紛らわすツールを購入するため、ドラッグストアに集まってきている」 (松本氏が)警鐘を鳴らすのは、薬の手に入りやすさについてです。「普通に薬局で買ったり」と話すのは、かぜ薬でオーバードーズをするという17歳。バッグの中には、大量の市販の風邪薬がありました。
■薬売る少女を取材「楽しんでる子が結構多いので」
さらに、大阪から来た19歳は「(処方薬を)買わせてもらいました」といい、若者に処方薬を売る"売人"のような存在があるといいます。違法行為にあたる薬の転売。news zeroは実際に”トー横”で処方薬を売っているという少女に話を聞くことができました。 売人の少女(10代) 「市販薬もそうだし、病院とかの薬を売ってる人いますね。自分も売ってます」 ―――いつもどこでもらうんですか? 売人の少女(10代) 「自分は内科です」 「『なんか寝られないです』みたいに言って。もらいたい薬を言って、そしたら出してくれる。緩いところ(病院)は緩くて、すぐもらえちゃいます」 この少女は、何カ所か病院などを回ったりして、薬を入手するといいます。 売人の少女(10代) 「処方(薬)だから、みんな手に入るわけじゃないから、ちょっと高めに売ってる」 「(売った金で)服とかたくさん買えますね」 この少女に「罪悪感はあるか?」と聞くと、「いや、別にそんなことはないです」としたうえで、「『ありがとう』みたいな感じで楽しんでいる子が結構多いので」と話しました。
■“40錠を一気に” まっすぐ立つことさえ出来ず…
命を失う危険性もあるオーバードーズ。松本俊彦氏によると、市販薬の場合、大量に飲むと幻覚や意識障害、臓器障害が起こる可能性があります。また、処方される睡眠薬などでは、意識障害の後に窒息や呼吸停止などを引き起こし、どちらの薬も最悪の場合、死に至る危険性があるといいます。 さらに、オーバードーズには、別のリスクも。取材した15歳の少女には、どこかにぶつけたのか、足のいたるところにアザがありました。意識がもうろうとしているうちに、自傷行為をすることもあるといいます。 取材中に出会った18歳の女性は「フラフラする」と言いながら、「40、40…」と口にしていました。 ―――40錠、一気に飲んだっていうこと? かぜ薬でオーバードーズ(18) 「うん。パキってると…。宇宙いく」 まっすぐ立つことさえできなくなっていましたが、具合を尋ねても「大丈夫」と応えていました。 国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦氏 「市販薬に関しては薬局が注意しなければいけない問題ですし、処方薬に関しては一人ひとりの医師が、きちんと問題意識をもって処方するということをやっていかなければいけないなと」