「ぼくも日本代表に」 地震被災の中学生、パリでサッカー観戦
【ナント=田島大之】能登半島地震で被災した中学生5人が25日、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」のスペイン戦を現地観戦し、スタンドから声援を送った。試合は敗れたものの、生徒の一人は「日本代表になりたい気持ちが強くなった」と目を輝かせ、震災を乗り越えて前に進む決意を新たにした。 輪島、珠洲両市などの中学1~3年生が試合を見守った。石川県外のボランティア団体が被災地支援の一環で五輪への招待を企画し、生徒は青色のユニホームに日の丸の鉢巻き、持参したかぶり物などを身に着けて会場入りした。 池坂日那汰(ひなた)さん(13)=輪島市輪島中1年=は、大規模火災のあった輪島朝市の近くに住む。自宅は無事だったが、地震後は大好きなサッカーをする場所がなくなり、現在は100キロ近く離れたかほく市内のクラブに通っている。 「将来はサッカー日本代表に入りたい」という池坂さん。憧れの存在を間近で見て「うれしい」と笑顔を浮かべ、「まずは23歳以下の代表になれるよう頑張りたい」と語った。 舩板楓さん(14)=輪島中3年=、林娃月(あづき)さん(12)=同1年=、池崎倖正さん(13)=珠洲市宝立小中8年=、木村和海さん(12)=能登町出身、金沢学院大附属中1年=も観戦した。 ●会場で支援呼び掛け「伝えていきたい」 5人は試合前、会場の外で「輪島」「能登」「メルシー(ありがとう)」と記された鉢巻きを来場者に配った。 これまでの支援に対する感謝と復興に向けた協力を呼び掛けるためで、地震で母と祖母を亡くした林さんは「すごくつらくて苦しいけど、地震のことを忘れず、外国の人にも伝えていきたい」と話した。 生徒たちは26日、ナント市役所を訪れ、同市関係者に被災地の現状や地震発生時の様子などを説明した。