米政府、選挙前停戦へ最後の追い込み-中東に要人送り交渉の糸口探る
(ブルームバーグ): イスラエルと親イラン民兵組織ヒズボラおよびイスラム組織ハマスとの戦争を、11月5日の米大統領選挙までに停戦に持ち込みたい米政府は、最後の追い込みで中東に当局者を送っている。
ブリンケン米国務長官は21日にイスラエルをはじめとする中東歴訪を開始。昨年10月にイスラエルとハマスの戦争が始まって以来、11回目の訪問となる。米国務省のホクスタイン大統領特別調整官はベイルートに到着。いずれもイスラエルが複数の戦線を張る戦争を少なくとも一時休戦に持ち込めるよう、交渉を試みるのが任務だ。レバノン、パレスチナ自治区ガザの両方では激しい戦闘が続いている。
ホクスタイン調整官は21日、レバノンのベリ国民議会議長と会談。同議長は西側とヒズボラの対話を取り持つ役割を担う。ホクスタイン氏は「何らかの解決策に到達しなければ、事態はエスカレートして収拾がつかなくなる」と会談後に記者団に発言。国連安全保障理事会(安保理)決議1701号の適切な順守に焦点を絞るべきだと指摘した。同決議は最後にイスラエルがヒズボラと戦争していた2006年に採択された。
イスラエルは週末にレバノンでの攻撃を拡大。ヒズボラの軍事活動を資金面で支えたとされる金融機関の関連施設を標的に空爆を実施した。数週間前からの空爆と地上戦でヒズボラの戦力は弱っており、週末の攻撃はその弱体化に拍車をかけると見られる。レバノンのメディアによると20日にはベイルート南の郊外で少なくとも11回の空爆があった。
イスラエルの攻撃はヒズボラが拠点を置いているとされる地域だけでなく、国境を越えた町や村落にも及んでいる。
一方でヒズボラはガザでの戦争が始まって以降、イスラエル北部に向けてミサイルを発射している。イスラエルからの攻撃がエスカレートするのに伴い、ヒズボラもミサイルで応戦を強めている。
原題:US Pushes for Pre-Election Cease-Fire in Lebanon, Gaza Conflicts(抜粋)