幾田りら×あのが大切にする、「自分と向き合う時間」。映画『デデデデ』インタビューで語る
声の演技を通して感じた「音楽をやっているもの同士の共鳴」
─幾田さんが演じた門出と、あのさんが演じたおんたんは、小学生以来の親友です。二人とも愛嬌のあるキャラクターですが、お互いの役に対して感じる魅力を教えてください。 幾田:あのちゃんが演じたおんたんは、すごくはちゃめちゃですよね。でも、根底に溢れんばかりの優しさがあったうえでのああいう人柄なんだなと理解していくと、本当に人情に厚くて温かい人なんだということを感じます。おんたんを見ていると、自分の大切な人を守るために生きたいと思うし、そのためには思いやりとか優しさを出し惜しみせず振る舞っていられるような人でありたいです。 あと、コミカルでよくわからないことを口癖で言っているとんでもない感じも、あんなお友達がほしいとすごく思います。いつも同じテンションで明るい気持ちにさせてくれる人がいるのはすごく素敵なことだし、変わらないでいることが一番難しいことだと思うので、ずっとそうやっていてくれる人がそばにいてほしいと思いました。 あの:おんたんにも共感できるところがあるけど、(幾田さん演じる)門出にも共感しました。愛嬌がある可愛らしいキャラクターだなと思うんですが、前章の終盤に登場する幼少期のシーンで、門出にとっておんたんが「絶対」すぎるがあまり、周りの人から否定されかねない門出なりの「正義」を振りかざす瞬間があります。 それはある人からしたらすごく悪いように見えるけれど、僕は何か「かっこいいな」って思うし、味方でいたくなるというか。それが門出の魅力だと思ったし、自分もすごく共感しました。 ─声優としての経験を通して、歌うことと声の演技に似ている部分はありましたか? あの:リズム感や言葉の置き方、強弱の付け方、感情の入れ方は歌っているときとかなり似ているとやってみて気付きました。それが正解かわからないけど、自然とそれをやっていて、完成したものを見ても「それでよかったな」って思うから、似ているんだと思います。 幾田:あのちゃんが言っていたように、セリフにリズム感などを装飾することによって聞きやすくなったり、感情が乗るところは感じました。 掛け合いの激しいシーンのちょっとした温度感や間合いのチューニングを合わせるのが早く、「音楽をやっているもの同士の共鳴」みたいなものはあったのかなと感じました。 ─特に苦戦したシーンはありますか? あの:走ってる声や息遣い、ものを投げているところ、取っ組み合いなどの声だけの演技が難しかったです。現場では「走ってる感じで」と演出があって、たくさんの方がいるなかで、どうしたらいいかわかんないままやりましたが、それもすごくチャレンジだったので楽しかったです。 幾田:喧嘩のシーンでは、喧嘩したときに出る息遣いや、殴られたときの音を声だけで演技する部分だったので、「もっとこうした方が自然に喧嘩してる感じが出るよ」と演出してもらいながら進めました。 どっちかが噛んじゃったりすると撮り直しなので、1テイクで撮り切るのは大変でしたが、すごく楽しくて挑戦のしがいがありました。