実は日本が世界でダントツの「ギャンブル・マシン天国」だという「衝撃の真実」
日本は「マシン・ギャンブリング天国」
アメリカでマシンの収益がブラックジャックやバカラなどのテーブルゲームの収益をはじめて上回ったのは1980年代初頭で、それ以降、マシン・ギャンブリングを認可する州も設置台数・売上も右肩上がりで増えつづけ、1996年の50万台が2008年には87万台ちかくに達した。 ギャンブル業界の関係者は、2003年にマシンが業界収益の85%以上をあげたと見積もっている。 アメリカには100万台ちかいギャンブルマシンがあると聞いても、「なんだ、そんなものか」と思うひともいるだろう。実は日本は、オーストラリアと並んで世界でもっともマシン・ギャンブリングが盛んな国で、日本全国に設置された「遊技機」はパチンコが243万台、パチスロが157万台で、合わせて400万台を超えている(2020年)。それも2016年の450万台から漸減してこの数字なのだ。 だがラスベガスはきわめて特殊な都市で、200万人ほどの居住者のほとんどがギャンブル産業に頼って暮らしている。彼ら/彼女たちは労働力としてだけでなく収入源でもあり、ある研究によると、居住者の3分の2が大いにギャンブルをする(週に2回以上、一度に4時間以上)、あるいは適度にギャンブルをする(月に1ないし4回、一度に4時間まで)リピート・プレイヤーだ。 そんな「ギャンブル都市」には、カジノだけでなく、レストランのロビー、バーのカウンター、ガソリンスタンド、コインランドリー、ドラッグストア、スーパーマーケットなどいたるところにマシンが置かれている。ラスベガスは巨大な社会実験であり、あらゆる欲望が金銭によって実現する大衆消費資本主義の未来世界でもある。 インタビューの終わりごろ、モリーはラスベガスでの暮らしをマップにしてシュールに説明した。 まず紙の左上隅に、彼女が部屋の予約係として働くカジノリゾート・ホテル、MGMグランドを描いた。 その右に、帰り道で車に給油しがてらときどきギャンブルもする、セブン-イレブン。その隣には、近所のカジノ、〈パレス・ステーション〉。夜と週末はそこでギャンブルをする。 その下に、買い物とギャンブルをするスーパーマーケット、〈ラッキーズ〉。またその下には、不安障害の治療薬をもらいに立ち寄る無料診療所を描く。 最後に左下隅に描いたのは、毎週水曜日の夜にGA(ギャンブル依存症の自助グループ「ギャンブラーズ・アノニマス」)の集会があるショッピングモールだ。私たちはそこで出会った。 モリーがそれぞれの場所と場所をつなぐ道を描くと、ひとつながりのループができあがる。手を止めてマップをじっと眺めていた彼女は、仕上げに自分自身を描いた。ループの真ん中に宙吊りになった、スロットマシンの前に座る姿を。 さらに連載記事<頭が良くなりたい人は絶対にやった方がいい、最も効果のある「地頭を鍛える方法>では、地頭を鍛える方法についてさらに解説しています。ぜひご覧ください。
橘 玲(作家)