仕事続ける支えが… ベビーシッター利用の割引券 10月なのに“今年度分は発行終了?”
企業の従業員などにベビーシッターの利用割引券を配布する国の支援事業で、今月2日、今年度分の割引券の新規発行が停止された。年度のちょうど折り返し時期にあたるが、発行枚数が予算の上限に達したためだという。詳細を取材した。
■シッター代…ひと月最大5万2800円分の補助
この制度は2016年に内閣府が開始したもので、今年度からこども家庭庁が引き継いだ「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」によるものである。割引券を使うと1枚で2200円の補助が受けられ、こども1人につき1日に最大2枚(4400円分)、1家庭で月24枚まで使用でき、つまり最大でひと月5万2800円分の補助が受けられる仕組みだ。 利用にあたっては、まず制度を利用する企業などが「全国保育サービス協会」(こども家庭庁が事業の実施をこの協会に委託している)に申し込み、企業などが労働者数に応じて、一枚につき70円から180円の手数料を払って割引券の発行を受け、ベビーシッターを利用する従業員らに配布する。従業員らはサービスを受けた際にベビーシッターに割引券と料金を支払う。そして、ベビーシッターを派遣する事業者が、受け取った割引券分の料金の請求を行い、全国保育サービス協会からそれが事業者に支払われるという流れだ。 割引券の原資は、政府が企業から徴収した「子ども・子育て拠出金」だ。この制度をめぐっては、昨年度も、年度途中に当初予算の6億3000万円分が底をつき、補正予算で3億1000万円を計上し、合計で39万枚分の予算を確保した経緯がある。こども家庭庁によると、昨年度は最終的には予算の約9割にあたる計35万枚分が利用された。こども家庭庁は、今年度は最初から39万枚分で運用していたが、年度途中の10月2日時点で、39万枚すべてが企業などに配布されたため、今後の配布が中止された。 制度では一部の企業に使用が集中しないよう、従業員数に応じた申し込み上限も設けられていた。さらに、全国保育サービス協会によると、今年度からは利用実績に応じた配布につなげるため、企業側の申し込みは1回あたり年間の配布上限の12分の1までとし、かつ、その企業に直近に配布された割引券の8割が使用されるまで、新たな申請もできないようになっていたという。年度はじめに、企業が多めに申し込み、予め大量に確保しておくといったことはできない仕組みだということだ。