不安回避 vs.一獲千金、目指す着地点は異なるけれど…「保険」と「宝くじ」に見る類似性
宝くじ、当たるかも…!→「脳の錯覚」による影響
目の錯覚は有名ですが、脳も錯覚します。たとえば、非常に小さな確率は実際よりも大きく感じられます。宝くじが当たりそうな気がしたり、飛行機が落ちそうな気がしたりするのは、錯覚によるものです。万が一の事故が起きそうな気がするのも錯覚でしょう。 その錯覚によって、人々が宝くじを買いたくなったり、保険に加入したくなったりするわけですから、宝くじ発行体や保険会社にとってはありがたいものですね。 宝くじを買う人にとっても、錯覚のおかげで当たりそうな気がしてワクワクできるわけですし、保険に加入する人にとっても、錯覚のせいで大いに不安であったものが保険加入によって安心できるようになるわけですから、保険加入のメリットが大きくなるわけです。
「宝くじ」と「保険」の本質は同じもの
じつは、宝くじと保険の本質は同じものなのです。「皆から金を集めて特定の人に大金を渡す」ものだからです。 株価暴落保険(プットオプションという名前の金融商品)があります。仕組みは複雑ですが、「プットオプションを買って持っていると、株が暴落しなければなにももらえないが、株が暴落すれば大金がもらえる」と理解してください。 もともとは株を持っている人の「株が暴落して大損するのは嫌だから保険に加入したい」という希望に沿って開発された商品なのですが、株を持っていない人がこの商品を買えば、宝くじと同じ効果が得られます。保険と宝くじの本質が同じだ、ということがご理解いただけたでしょうか? 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義