安達祐実の温度差がヤバい…地獄みたいな状況なのに笑える理由とは? ドラマ『3000万』第6話考察レビュー
NHKが新しい制作手法を取り入れ誕生した土曜ドラマ『3000万』。本作は、NHKが新たに立ち上げた脚本開発に特化したチーム“WDRプロジェクト”によって制作され、主演は安達祐実、共演を青木崇高が務める。今回は、第6話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】地獄みたいな状況での安達祐実がヤバすぎる…貴重な未公開写真はこちら。『3000万』劇中カット一覧
本当の地獄はここから…。
闇組織を束ねていた大津(栗原英雄)が逮捕され、ようやく平穏な日常を取り戻したと思っていた祐子(安達祐実)と義光(青木崇高)。しかし、命からがら組織から逃げてきたソラ(森田想)を再び家で匿うことに。 祐子たちの地獄は全然、終わっていなかった。なんなら大津はただの運び屋で、闇組織のボスは他にいるというのだから、本当の地獄はここからと言っても過言ではない。そんな中、刑事を定年退職した奥島(野添義弘)の誕生日会が佐々木家で開かれる。 物語も残すところ、あと3話となったが、この第6話では最初から最後まで誕生日会の模様だけが映し出される。時折、坂本(木原勝利)と長田(萩原護)の動きも見られるが、ほぼワンシチュエーション。にもかかわらず、ここまで物語が大きく動き出すとは思わなかった。 奥島はただ誕生日を祝ってもらうためだけに佐々木家を訪ねたわけではない。大津の逮捕に繋がった1本のタレコミ電話。自身のプライベートの電話番号をほぼ唯一知っている義光に、奥島は疑いの目を向け始めたのだ。
感動の夫婦エピソードのはずが…。
そんな奥島からの追求を笑顔で交わす祐子と義光だったが、その心中は焦りと不安で穏やかではなかった。本当のことを打ち明けるべきか、それともこのまま黙っておくべきか。選択を迫られる中でキーとなったのは、かつて義光が所属していたバンド・マゼランが唯一ヒットさせた楽曲だ。 メンバーの1人が薬物で逮捕されたことで転落したバンド。仲間を止められなかったことをずっと後悔していた奥島の息子・元樹(島田惇平)が病で亡くなり、義光は音楽を辞めた。 その際、奥島にあげたキーボードを祐子が取り返してくれていたことを義光は知る。いつも呑気に義光がギターを弾いているだけでもイライラしている祐子だが、心からその夢を応援していた時期もあったのだ。 顔を合わすたびに言い争っている夫婦の知られざるエピソードに感動した矢先、祐子が「あれはもう売った」と告白する。奥島から取り返したのは義光のためではなく、売って生活費にあてるためだった。 それを知った義光は激怒。さっきまでの感動ムードから一転、夫婦は奥島がいることも忘れて激しい喧嘩を始める。 その温度差に思わずズッコケそうになったが、「もっとお金がなくて、先が見えない感じとか。朝から晩までお金のことばっかり考えてんの、惨めだなとか。そういうの一緒に抱えてほしかったの!」という祐子の訴えにハッとさせられた。