森友学園問題で注目「会計検査院」とは? 坂東太郎のよく分かる時事用語
検査院報告の法的拘束力は?
安倍晋三首相はこれまで国会で「会計検査院がしっかりと調査し、結論を出すのを待ちたい」との姿勢を示してきました。その結果が「根拠が確認できない」。この点を野党から追及されると「私が調べて『適切』だと言ったことはない」「答弁との整合性は各省がしっかりと検証してほしい」などと釈明しました。今後、首相が指導力を発揮して自ら解明に当たるかどうかは現時点で不透明です。 会計検査院は捜査機関ではないため「ここが不適切だ」と指摘するまでで「おしまい」です。例えば、法令違反に当たる「不当事項」(※)と判断した場合には、相当な問題だというインパクトを与えられますが、何しろ今回の森友問題では適切な価格を推量するのに必要な資料が破棄されていたので、「値引きは不当だ」とまで言い切れないようです。 (※)…会計検査院の検査報告において、不適切なものに関する指摘は、俗に「指摘事項」と呼ばれている。分類としては、上記の「不当事項」のほか、関係大臣などに改善を求める「意見表示」「処置要求」などがある。
--------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など