前市長にパワハラ認定、「ナンセンス」と職員に怒鳴る 岡山県笠岡市
昨年、市職員へのパワハラが疑われる音声が市議会で公開された岡山県笠岡市前市長の小林嘉文氏について、市は31日、在職中に職員に対するパワハラ行為があったとする調査結果を発表した。市長という立場を背景に、職員を軽蔑する表現で怒鳴りつけたと指摘。恐怖を感じさせ、就業環境を害する行為だったとしている。 匿名の職員から昨年11月、小林氏と職員のやりとりとされる音声データが寄せられ、翌12月には市議会特別委員会で公開された。 市では同月、市長や職員、議員を対象にしたハラスメント防止条例を施行。条例に基づいて弁護士3人からなるハラスメント対策委員会が調査を進めていた。 委員会がパワハラと認定したのは2件のやりとり。2020年6月ごろの音声では、議会に予算要求を拒否されたことをめぐり、市長が職員を「いい加減なことを言うな、お前」「バカみたいなこと言うな。お前、ナンセンスなんだよ」などと怒鳴りつけている。また時期不明の別の音声では、「何でゼロ・100でしか考えられんの」などと叱責(しっせき)している。前後の文脈はわからないという。 委員会は一連の発言が、市長という優越的な立場を背景にしたものと指摘。高圧的で職員に恐怖心を感じさせ、かつ同席した別の職員を萎縮させて就業環境を害するものと判断した。 市は問題とされた案件がハラスメント防止条例施行前のものであるため、調査結果は条例に基づいた公表ではないと説明。市議会で音声が公開されており、市民の関心が高く説明責任があるという理由で公表に至ったという。 小林氏は市議会で音声が公開された際、「パワハラと判断されれば素直に反省したい」としていた。今年4月の市長選に出馬したが、新顔の栗尾典子氏に敗れ落選している。 小林氏は、今回の結果を受けて「被害者本人から『ハラスメントには当たらない』との説明を受けている。納得していない。事実とは異なった判断をされた」などとするコメントを出した。(小沢邦男)
朝日新聞社