伊藤忠「課長で年収3620万円」 岡藤流賃上げ、にじむ財閥系商社への対抗心
「追いつけ追い越せ」
伊藤忠はかつて5大商社の中で「万年4位」といわれていた。状況を打破したのが10年、社長に就任した岡藤氏だ。まずは「商社3位」、次に「非資源ナンバーワン」と背伸びすれば届きそうな目標を設定し、それをクリアすることで成功体験を積み重ねてきた。16年3月期には連結純利益で首位に、21年3月期には連結純利益だけでなく、株価と時価総額でも首位になって「3冠」を達成した。 ただ、最近ではロシアによるウクライナ侵略後、石炭や天然ガスなどの資源価格が一時高騰。足元では落ち着きを取り戻してはいるものの、商社の資源ビジネスは堅調に推移している。資源ビジネスの比率が比較的大きい三菱商事・三井物産は連結純利益で1兆円を超えた期がある一方、比率が2~3割にとどまる伊藤忠は後塵(こうじん)を拝している。岡藤氏も「しばらくは我慢の時期」と話していた。 「働いても働かんでも、そこそこもらえたら誰も仕事せん。もっとお金に差をつけて闘争本能を刺激せなあかん」 以前のインタビューで、このように話していた岡藤氏。今回も「財閥系商社との格差を埋めることを優先しました」「追いつけ追い越せの気持ちで頑張ってもらいたいと思います」と社内にハッパをかける。三菱商事・三井物産が連結純利益1兆円という大台を達成して先行する中、「うちもすぐに追いついてやるぞ」という覚悟の賃上げに違いない。
高城 裕太