2024年10月から「年収106万円」以上で社会保険に加入!? 手取りが「月1万円」減るけど、将来の年金額はいくら上がる？ 20年加入した場合で試算

アルバイト・パート勤務で働く人にとって気になる「年収の壁」には様々な金額があります。2024年10月からは社会保険の加入対象が年収106万円以上に広がる予定です。本記事では、社会保険に加入した場合の手取り金額の変化や将来受け取れる年金見込み額を試算します。

新たに社会保険の加入対象になる人は？

2024年10月から社会保険の加入対象となるのは、以下に挙げる5つの条件をすべて満たす人です。 従業員数：社会保険に加入している従業員数が51人以上 労働時間：週間の決まった労働時間（所定労働時間）が20時間以上 雇用期間：2ヶ月以上の雇用期間見込みがある 年齢など：学生ではない（夜間学生・休学中は加入対象） 月額賃金：月に8万8000円以上（基本給・諸手当を含む） このなかで一番気になるのは月額賃金額でしょう。この賃金は基本給や諸手当を含みますが、残業代・通勤手当・賞与などは対象ではありません。

繁忙期で一時的に8.8万円を超えても対象になる？

繁忙期や残業などで一時的に所定労働時間を超えて給与が8万8000円以上になっても、社会保険の加入対象にはなりません。勤務先と交わした雇用契約書で定めた「月額賃金」が基準です。 月額賃金は「月額賃金＝時間給×週間の所定労働時間×52週（1年）÷12ヶ月」で計算できます。 例えば、東京都（2023年10月から）の最低賃金時給1113円を当てはめると「最低賃金時給1113円×週間所定労働時間20時間×52週÷12ヶ月＝月額賃金9万6460円」となり、社会保険の加入対象になります。

社会保険に加入したら手取り金額などはどう変わる？

年収106万円で配偶者の扶養に入っており社会保険に加入していない場合と、24年10月から社会保険に加入して扶養からはずれた場合、手取り収入額はどのように変わるのか、税や保険の情報サイト「税金・社会保障教育」のシミュレーションツールにて試算します。 ＜40歳以上65歳未満で配偶者の扶養家族、社会保険に入っていない場合＞ 年間収入106万円－（年金保険料0円＋健康保険料年間0円＋雇用保険料約6360円＋所得税1100円＋住民税1万2300円）＝手取り収入年間約104万240円 ＜40歳以上65歳未満で社会保険に加入した場合＞ 年間収入106万円－（年金保険料約9万6624円＋健康保険料年間約6万2409円＋雇用保険料約6360円＋所得税0円＋住民税5000円）＝手取り収入年間約88万9607円 約104万240円－約88万9607円＝約15万633円の年間手取り金額差（月額約1万2552円）となる見込みとなりました。 厚生年金は国民年金に上乗せされて支給されるので、将来受け取れる年金額が増えることになります。社会保険に加入して、終身にわたって受け取れる厚生年金の増加見込み金額（報酬比例）はいくらになるのでしょうか。計算式は「平均標準報酬額×（5.481÷1000）×加入月数」です。 ●1年加入した場合：平均標準報酬額8万8000円×（5.481÷1000）×12ヶ月＝年間約5787円増加見込み ●20年加入した場合：平均標準報酬額8万8000円×（5.481÷1000）×240ヶ月＝年間約11万5758円増加見込み

まとめ

年収106万円で社会保険に加入すると、加入前よりも月額約1万2552円の収入差が出ますが、将来的に終身で受け取れる年金額は加入年数に応じて増えてゆきます。普段の生活費用をみて将来の働き方を家族と検討すると良いでしょう。 出典 厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 日本年金機構 令和2年9月分（10月納付分）からの厚生年金保険料額表（令和5年度版） 日本年金機構 は行　報酬比例部分 執筆者：FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー