「特定利用」反対議決せず 館長が要望書に文言追加 波照間公民館
波照間空港の滑走路延長を巡り、波照間公民館が12日に反対の議決を行った際、議案に「軍事利用」「特定利用空港・港湾」に反対するという文言はなかったことが24日分かった。滑走路延長を求めることに反対は多数決で決まったが、仲底善章館長が総会後の22日、玉城デニー知事に提出した要望書に2つの文言を追加した。 仲底館長が要望書を提出したあと、新聞報道を見た住民から「なぜこのような内容になっているのか」「総会ではそのような議案はなかった」などという声が挙がっており、波紋が広がっている。 要望書では「国の特定利用空港・港湾指定等による波照間空港の自衛隊の使用や今後の軍事利用に対し、島民の安心・安全に重大な障害になるとの危機感により」などと滑走路延長反対の理由が記されている。 総会の参加者によると、12日に行われた総会では竹富町に対する公民館としての要請事項が議題になった。議案では要請事項に「波照間空港の滑走路延長を求めること」を盛り込むかどうかだけの賛否を問い「自衛隊による軍事利用」「特定利用拠点空港・港湾」などという文言はなかった。 ただ、審議の前に東金嶺肇町議が、自身で行った特定利用空港指定に対するアンケート結果を紹介。回答者の6割が反対したと述べた。 採決では、滑走路延長を求めることに反対が60人で賛成の32人を上回り、町への要請は取り下げられることになった。 仲底館長は取材に「事前に特定利用に対するアンケートの話があったので(反対者は)当然そういう意思表示をしたと思っている。最終的に自分が文章を作成した」と総会後に文言を追加したことを認めた。 総会時に滑走路延長反対を知事への要望として提出する話は出なかった。その後、6月の県議選に出馬を表明している次呂久成崇氏から仲底館長に打診があり、知事が選挙応援に政務で石垣市に来る機会を利用し、直接要望書を手渡すことになったという。 「軍事利用」「特定利用空港」に反対する文言が盛り込まれた要望書は12日の総会のあと仲底館長が作成。知事が石垣市に来島する数日前、豊年祭について話し合う公民館役員会が開かれた際に参加者に配布し、22日に直接要望することを報告した。その場では特に意見は出なかったという。 総会参加者の一人は「町への要請に滑走路延長を入れるか、入れないかの話なのに、館長が独断で島の意思として反対を表明することはおかしい」と疑問視した。 仲底館長は、公民館の要望書に「軍事利用」「特定利用空港・港湾」反対の文言を盛り込んだことが独断だという指摘に対しては「役員の了解を得ているので問題ない」との認識を示した。 役員会に参加した一人は「要望書を見て、何でこんなに具体的な話が出ているか疑問に思ったが、そのまま聞き流してしまった」と話した。