【速報】川村記念美術館、都内縮小移転へ DIC方針、来年4月から休館 佐倉
化学メーカーDIC(東京都中央区)は26日、千葉県佐倉市で所有・運営するDIC川村記念美術館(同市坂戸)を東京都内へ縮小移転する方針を発表した。同日の取締役会で最終決定した。同社は運営効率化のため、今後の運営方法について都内への縮小移転を軸に検討を進めていた。保有作品は現在の4分の1程度に減らす考えで、来年中に一部の売却に着手し、少なくとも100億円程度のキャッシュインを目指すとしている。 現在の施設は来年3月末まで営業し、同4月から休館に入る予定。休館後の庭園などの利用の可能性については、佐倉市と協議していくとした。 同美術館を巡っては、今後の運営のあり方を審議するため同社社外取締役らでつくる「価値共創委員会」を今年4月に創設。同委員会から「現状のまま美術館を維持、運営することは難しい」との助言があり同社は8月、資産効率の観点から運営方法を検討し年内に結論を出すとの中間報告を公表し、都内への縮小移転を軸としつつ運営中止も選択肢に含めるとしていた。 一方、佐倉市は地元財界代表や市内にある国立歴史民俗博物館の館長らと「DIC川村記念美術館の佐倉市での存続を求める会」を設置し、署名活動を9月から11月末まで行い国内外から5万8千筆超を集めた。現地存続へ西田三十五市長らが署名簿を手に同社本社で幹部に“直談判”したほか、12月には開会中の市議会定例会でふるさと納税を活用した運営支援基金の創設構想などに触れていた。 同社は8月の中間報告で美術館を来年1月下旬に休館するとの方向性を合わせて示していたが、休館予定を公表後に来館者数が急増したことから、翌9月には休館に入る時期を当初から2カ月先送りし来年3月下旬にすると発表していた。 同美術館は1990年開館。モネやピカソをはじめとした20世紀美術のコレクションで知られており、所蔵作品754点のうち同社保有の384点の資産価値は計112億円(簿価ベース、6月末時点)に上る。