イーロン・マスクの米政府への登用は日本への影響大! 自動運転への流れが一気に進む可能性
マスク氏の政府参入が自動運転の分野で大きな変化を起こす
テスラの自動運転ビジネスに世界の注目が集まっている。最大の理由は、テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が来年1月に誕生する第二期トランプ政権で、政府効率化省のトップになる人事が発表されたことだ。 【写真】映画の世界が現実に!? テスラが超精度な人型ロボまで開発していた これを受けて、株式市場におけるテスラ株は高騰した。報道では、マスク氏が自動運転に関する規制緩和を進めるとされている。 一般的な感覚では、民間企業の経営と国全体の施策を同じ人が行うことは、実質的な「公私混同」という印象をもつのが当然だ。 そんな一般常識がいまのアメリカでは通用しないということなのか? それでも、これを社会の現実として捉えて、日本はアメリカとの付き合い方を考えるべきだ。そのなかで自動運転についても、マスク氏が進める自動運転に関する規制緩和措置が、日本にも影響を与えることを覚悟する必要があるだろう。
日本でも自動運転の実証実験が行われている
さて、テスラ個社の事業としてみれば、10月10日にカリフォルニア州ロサンゼルス郊外にあるワーナーブラザーズスタジオで自社イベント「We, Robot(ウィー、ロボット)」を開催している。 そのなかで、自動運転や自律型ハードウェアに関して大きく4つを紹介している。 ひとつ目が、「ロボタクシー」。自動運転レベル4を想定して、車内には運転車がいない。ハンドルやアクセル・ブレーキなどのペダルもない。クルマの形状はスポーティな雰囲気の2ドア(跳ね上げ式)で、乗員は4名相当としている。 ロボタクシーといえば、もっと車内空間が広いミニバンや小型バスのようなイメージをもつ人が少なくないだろう。こうしたデザインセンスに、テスラの独自性を感じる。 ふたつ目は、20人程度が乗車できる「ロボバン」だ。こちらは、公共交通の代替のイメージであろう。 3つ目は、既存車を含む「モデル3」と「モデルY」の自動運転レベルを現在のレベル2からレベル3に引き上げることだ。通信機能のOTA(オン・ザ・エア)を活用するとみられている。 そして4つ目が、二足歩行ロボット「テスラ ボット」だ。家庭のなかで家族と一緒に過ごしたり、また飲食店などサービスロボットとしての実用化をイメージしているようだ。 こうして一連のテスラ関連事業が、米連邦政府の施策の一環として規制緩和が進むことになるのだろうか? 一方、日本では2010年代から2020年代にかけて、内閣府が主導して産官学連携で実施する国家プロジェクト・SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において、技術、法整備、人材教育、国際協調といった多様な面で自動運転の基盤を作った。 これを受けて、国土交通省と経済産業省は、地域交通の視点から2025年度内に全国で50カ所程度、さらに2027年度までに全国約100カ所程度での実用化を目指している。 そのほか、ネクスコ中日本の管内における自動運転トラック自動運転の早期社会実装を目指す実験も行われるところだ。 乗用車については、自動車メーカー各社が2030年代に向けてレベル2の高度化とレベル3の実用化を進める方針だ。 そうしたなかで、テスラやグーグル(親会社はアルフェベット)から独立したウェイモなどアメリカの自動運転技術が少なからず、日本にも影響を及ぼすことになるだろう。
桃田健史