「訴えを取り下げた」松本人志の復帰に業界関係者が注意喚起…可能性が高いのはローカル番組だが
松本人志を起用するリスクはむしろ高まった
つまりは、復帰は前提で固まっていたとしても、時期がいつになるのか、そこが問題になるというわけか。 松本側の代理人弁護士らは、「訴えの取下げ」についてのコメントでは、「事実無根」とは書いておらず、「松本において、かつて女性らが参加する会合に出席しておりました。参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」としており、受け取り方によっては、文春の報じた性加害記事を事実と半ば認めるような言い方だ。 実際、ネット上でも「このまま争っていても勝ち目がなかったからだろう」という見方が多数。訴訟上でも、松本が「性加害をしていなかった」とする立証にはほとんど踏み込まないまま、暴露系配信者の真偽不明なネット投稿を証拠として提出したほど苦しい状況だった。 一方の文春側は、取材メモなど20点もの証拠を提出、被害者から現場ホテルの見取図まで書かせて検証したものもあり、真実性を正面から争う姿勢を示していた。 あるテレビプロデューサーは「松本さんを起用するリスクは、むしろ高まった」と言う。 「この訴えの取り下げで、性行為を目的としたような飲み会がたくさん行なわれていたことが認められた感じになって、文春で告発していなかった女性が、これからまた告発してくる可能性があります。『#Me Too運動』のように広がると、世間からの風当たりが厳しくなり、テレビ局のコンプライアンス上、松本さんを安易に起用しにくくなります」 事実無根と言っていた主張が一貫されなかったことで、「私も被害者」とか「私も知っている」という話が出てきやすくなってしまったという。 「それと、ジャニーズの性加害問題では、巨大な力を持つ大手芸能プロに対して、亡くなった元社長からの加害であっても、その取り組み方が大きく問われたのが大きかった。 もし、これで松本さんが何事もなかったかのように復帰できてしまうと、所属の吉本興業とテレビ局にも批判が飛び交い続けることになる可能性があります。それをジャニーズのときのBBCのような海外メディアが取り上げたり、政府からも注意されるような事態になることさえ想定できてしまうんです」 そうなると、松本のテレビ復帰は実現しないままになってしまうのだろうか。 「渡部建さんが最近、番組に出始めたように、まずは時間を置いて、世間の批判が弱まるまで待ったほうがいいとは思います。でも、松本さんや吉本興業が番組に出させろと強く言えば、断れないような人々がテレビ界にいるのも事実ですからね…」 復帰番組として関係者が暗に進めていたとされる『探偵!ナイトスクープ』の復帰プランはどうなるのか、注目が集まる。
片岡 亮(フリージャーナリスト)