親が「貯金が2000万円あるから」と、60歳から年金を受給するそうです。年金額が減らないか心配なのですが大丈夫なのでしょうか? 暮らしていけるか心配です…
安易に繰上げ受給を選ばずにできるだけ長く働く検討を
いつまで生きられるか分からないなら、もらえるものはもらっておいたほうが良いと考える人もいるかもしれません。しかし、年金の繰上げ受給(繰下げ受給も同様)をした年金額は、生涯続くことになり、受給を開始すると変更はできません。よく検討してから決めるようにしましょう。 図表2は年金のベースを23万円、毎月の支出を27万円、受給開始まで貯蓄2000万円を残していると仮定した場合に、年金受給開始タイミングによって貯蓄がいつまで持つかを簡易計算した表です。 図表2
日本年金機構 年金の繰上げ受給 年金の繰下げ受給より筆者作成 図表2を見ると、65歳から年金受給を開始した場合は、100歳を超えてから貯蓄がなくなる(65歳の42年後)計算ですので、比較的安心できる結果といえそうです。年金の繰上げ受給時期が早くなるほど、貯蓄が底をつくリスクが高まっていく傾向にあるといえます。 したがって、働く気力・体力が続くのであればできるだけ長く働くことをおすすめします。現役世代よりも年収が落ちたとしても、安定した収入が見込めるので、年金受給開始までの期間の貯蓄の減少スピードを抑えることができます。繰下げ受給ができればさらに資金面での不安が解消されます。
まとめ
実際には家のリフォームが必要になったり、高齢になったために施設へ入居したりするなど、想定よりもお金が必要になることもあります。そのため、老後の生活を検討する際には、余裕をもった計画を立てるようにしたほうが良いでしょう。とくに年金受給は一度開始すれば変更ができませんので、十分検討することが重要です。 また、収入に見合った支出で生活することも大切です。本記事では27万円の支出でシミュレーションしましたが、繰上げ後の受給額である17万5000円に合わせて支出を減らせば不足額も小さくなり、破産リスクも減少します。将来の年金受給やライフプランを自分だけで考えることが難しい場合には、専門家に相談するとよいでしょう。 出典 厚生労働省 令和6年度の年金額改定について 総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 執筆者:御手洗康之 CFP
ファイナンシャルフィールド編集部